昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

ヒメウラナミジャノメ・・・ぴょんぴょんと跳ねて機嫌でもいいのかしら?

地味な色合いだが目玉模様が特徴的

昆虫探索をする時、あれが見たいこれが見たいとあれこれ目標を定めるのはあるあるだが、相手が自然なもので、意中の相手に会えずに振られてしまうことがよくある。

そんな心を慰めようとするかのように、目の前に現れるのがヒメウラナミジャノメだ。
まあ要するにどこにでもたくさんいるような普通種の蝶で、基本的に昆虫を探しに歩くと見ないということはない。何匹も同じところで飛び交うということもザラで、個人的にはモンシロチョウアゲハチョウといった、誰もが知ってる蝶より身近な存在ですらある
 
草原等比較的明るいところを好む傾向にあるが、ちょっとした雑木林くらいだったらガンガン見かける印象だ。
幼虫がイネ科カヤツリグサ科の植物を幅広く食するために、細かいことは気にしない性格なのかもしれない。
成虫は花の蜜に集まり、他のジャノメチョウの仲間が樹液や獣糞等に集まる種類が多いのとは一線を画している。この辺の食性も、明るいところを好む要因だろう。
 
ぴょんぴょんと跳ねるように飛び、かつ推進力があまりないので、慣れれば飛んでいたとしても簡単に見分けがつく。
その飛び方がなんともかわいらしく、よいしょよいしょと飛んでいるような感じだ。
多産する場所では、あちこちで草むらから飛び出しては消えを繰り返すような様相でなんとも賑やかである。
 
ジャノメチョウの仲間といえばやはり最大の特徴は名前にもあるの目模様だ。
ジャノメチョウの仲間は基本的に全体のベースが茶色なので、地味な印象を受けるが、それがかえって自慢の蛇の目模様を引き立てているような気さえすワンポイントで違いを見せつけるファッションリーダーなのだ。
タテハチョウの裏面や、ミドリシジミのメスムラサキツバメのオス等の表面の方が、実はよっぽど地味であると個人的には感じている。

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件のミドリシジミのメス。知り合いに見せたら蛾だと思われた
ヒメウラナミジャノメの裏面なんて、よくよく見たらすごい模様をしているもので、さながら絵画か何かの表現手法のようだ。
後羽の蛇の目の数は基本的に5〜6個だが、まれに欲張って8個とか付けてしまうものもいるらしく、個性豊かなものがいるのも本種の特徴だ。

名前の由来になった裏面。集合体恐怖症の人が無理そう
要するに、どこにでもいて地味だと言われる本種だが、目を凝らせばこんなにも個性的な生き物だということだこれだから昆虫観察は面白い。
 
蝶においても、やはり珍しい種類、派手な種類のような人気の種類が存在するのは事実である。しかし、こうした身近な蝶も、じっくり見ると他の種類にはない魅力があるのものなのだ。
 
 
【ヒメウラナミジャノメ】
チョウ目タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科
成虫は4月~9月頃にかけて出現
前翅長18mm~24mm
北海道から九州にかけて幅広く分布
草原や雑木林の間等、比較的明るいところに多く生息
食草はイネ科やカヤツリグサ科の各種植物
日本で最もポピュラーなジャノメチョウの一種で、飛び方も穏やかなため見つけるのは容易い。