皆さんは、アブというとどんなイメージをお持ちだろうか?
さしずめ多いのは、ハチに似たなんか刺してくる危険な生物といったところだろうか。
そんなよろしくないイメージを(強引にイメージ付けしている感はあるが)私が払拭していきたいと思う。
今回紹介するのはオオハナアブだ。
他のアブの仲間に比べて、丸っこいフォルムをしているのが特徴で、なんとも存在感がある。
配色もはっきりとした黒色にオレンジに近い黄色と、メリハリのあるものになっている。
そしてなんといってもすごいのは、目の模様だ。なんともSF映画にでも出てきそうなすんごい模様をしている。
ちなみにメスは目が離れているという点ですぐ見分けが付く。
はじめてオオハナアブを見たとき、目の模様のすごさから、「これは絶対に珍しい種類だ!」と、心踊らせたという経験がある。
実際は色んなところで見られる、いわゆる普通種だ。(ちなみに私が子どもの頃持っていた昆虫図鑑には、オオハナアブが載っておらず、その事も本種が珍しいと誤解してしまった一因となっていた。)
ともあれこの存在感なので、普通種とわかっていても、見かけた時はついつい夢中になって追いかけてしまう。
見かけるポイントとしては日当たりのいい草原や林間の日だまり等々。名前の通り花を訪れるので、花で賑わっている場所が第一級ポイントだ。
幼虫は水中で暮らすため、湿原やちょっとした池等が周囲に存在していたら尚良し。
後は色んな昆虫が飛び交う中で、オオハナアブが混ざるのを待つだけだ。
ここで皆さん気になる点がおありだろう。そう、「アブなんだから危険なんじゃないのか、、、?」という点だ。
心配ご無用。オオハナアブは刺さない。というより、その辺でよく見かけるアブの仲間は基本的に人間に危害を加えることはない。
実は人間を刺すアブは少数派で、山地等の自然豊かな所に行かないと見ることができない。
それにも関わらずアブが一般的に恐れられているのは、ひとえに、アブが刺したらめちゃくちゃ痛いからだろう。
いとこが子どもの頃刺された所に居合わせていたことがあるが、あまりの痛さにガチ泣きしていた。
さらにはフォルムがハチに似ているということもあり、アブという存在は必要以上に恐れられる存在となってしまった感がある。ちなみにオオハナアブも、クマバチやマルハナバチと言ったハチに擬態しているとされている。要するにハチに似ているというのは、アブの生存戦略の1つであると言える。
しかし、基本的にアブは恐れる必要はない。オオハナアブも夢中で花の蜜を追い求めるかわいい存在だ。
オオハナアブの事を知った皆さんは、その愛らしさに触れて、アブという昆虫の魅力に触れてみてはいかがだろうか。
【オオハナアブ】
成虫は4月~11月頃に出現
体長11mm~16mm
北海道から沖縄にかけて分布
草原や林間、湿地等の花を訪れることが多い
幼虫は水生で、腐食物を食べる
目の模様が特徴的。メスの複眼は離れるため雌雄の見分けは容易。