私がまだ小学生だった頃、同級生に虫全般が大嫌いな女の子がいた。
その子はチョウやクワガタのような一般的に人気の高い虫も軒並苦手で、ハエのようなちょっとした虫ですら思わず悲鳴を上げるレベルだった。
しかし、そんな彼女が唯一好きだという虫が、テントウムシだった。
そんな虫嫌いの女の子すら魅了するテントウムシの、代表オブ代表がナミテントウである。
ナミとは漢字にすると「並」いわゆる普通という意味だが、文字通り実にテントウムシらしい見た目をしている。
テントウムシがアブラムシを食べることは有名だが、例に漏れずナミテントウもアブラムシを食し、しかも、アブラムシであれば種類を問わず、好き嫌いが少ない。つまりナミテントウは、アブラムシさえいればどこにでもいる。
住宅街の一角に現れることもあるし、多いところでは祭りでもやっているのかと思うほどにたくさんいることもある。
そんなテントウムシだからこそ、我が国を代表するテントウムシなのだ。
そんなナミテントウの最大の特徴と言えば、なんと言っても個体による模様の差異が大きい点だ。
はっきり言って、知らない人は同じ種類のテントウムシだとは思わないだろう。
タイトルには七変化と記載したが、7パターンどころではないらしく、細かく分けると200パターンも存在するらしい。
ちなみに、なぜそれほどまで多くの模様が存在するのかが気になって調べたことがあるのだが、遺伝子やら何やらの話が出てきて私の頭ではよくわからなかった。
もしその辺りを分かりやすく噛み砕いて説明できる方がいらっしゃったとしたら、ぜひとも教えていただきたい。
そんな私のナミテントウの思い出と言えば、昔ニンテンドー64というゲーム機にあったゲームソフト「ぬし釣り64」だ。
ぬし釣り64は表題にある釣りはもちろん、虫捕りや花摘み等も楽しめる。何よりリアルなグラフィックで、実際の自然を堪能しているかのような感覚になる、まさに神ゲーである。当時小学生だった私は、ぬし釣り64を昼夜問わずやり込んでいたのだ。
そんなぬし釣り64の作中に、模様の違うナミテントウを7種類集めるというイベントがある。
当時小学生の私は、「こんなに種類がいるわけねえだろう」と思いながら、「まあゲームの世界だし嘘もあるわな」と自分を納得させながらプレイしていた。
ところが実際には200種類というのだから、ゲーム会社の皆さまならびにナミテントウ様、その節は誠に申し訳ございませんでした。
そんなこんなで、何かと個性が叫ばれる昨今、テントウムシでありながら個性豊かな模様を見せてくれるナミテントウはまさにモダンでハイブリットな生き物だと言えよう。
そんな一粒で200度美味しい(さすがに盛りすぎか)ナミテントウはごくごく身近な昆虫の一種。
皆さんも、思い思いに装飾したナミテントウを探して、楽しんでみてはいかがだろうか。
【ナミテントウ】
甲虫目テントウムシ科
成虫は3月~11月頃にかけて出現
体長7mm~8mm
北海道から八重山諸島にかけて分布
草原や畑等アブラムシの付くところに生息
アブラムシを食べる
様々な模様が存在するテントウムシ。模様の数は200種類にも及ぶという