長い冬が終わり春の陽気になると、草原には花が咲き乱れるようになる。
そんなお花畑を訪れる昆虫の代表といったら、なんといってもミツバチだろう。
そんな中に、明らかにミツバチよりも素早く直線的に飛ぶ者が存在する。それが今回紹介するシロスジヒゲナガハナバチである。
画像をご覧いただければわかるが、やはりなんといっても特徴的なのは和名の「ヒゲナガ」に繋がっている長い触覚だ。ミツバチと比べると、相当な長さを誇っていることがよくわかる。
しかし、この触覚をヒゲと表現する辺りにセンスを感じるのは私だけだろうか
ちなみにヒゲが長いのはオスだけで、メスのヒゲは短くなっている。この辺りは人間とリンクしているようである。
前述のようにミツバチと比べて素早く直線的に飛び、まるでハエのような趣を感じるが、それに加えて中々止まらず、さらには止まっても割とすぐにまた飛び立ってしまうという、カメラマン泣かせな一面を持つ。
ミツバチのような社会性は持っておらず、単独で土中に巣を作る。そのためか、人間を攻撃するようなことはないようである。一応メスは針を持っているようだが、調べても刺されたといった話が出てこないので、よほどの事がない限り刺さないと思われる。
幼虫は親が運んできた花粉団子を食べる。かふんだんごと言ったら思い出すのはポケモンの技だろう。かふんだんごは威力90の特殊技で、味方に使っ、、、(以下略)
そんなシロスジヒゲナガバチだが、実はかなりそっくりなニッポンヒゲナガハナバチという種類が存在する。
生態も出現時期も生息地もモロかぶりしているため、パッと見で見分けることは不可能である。
見分ける方法は羽の脈だ。下の画像の赤い部分が3つに分かれていたらニッポン。2つに分かれていたらシロスジということになる。
1cmちょっとの小さなハチで、かつ素早く飛び回るので、要するに肉眼で見分けることはほぼ不可能だろう。キレイに写真に収めてはじめて見分けがつくほどなので、さすがに似すぎである(もっとも以前はあまりに酷似していることから、混同されていたようである)
色々と述べてきたが、シロスジヒゲナガハナバチはなんともかわいい。ヒゲの長いオスもかわいいし、ヒゲの短いメスもかわいい。というか、触覚をヒゲと表現するのもかわいい。要するにかわいい(何回言うんだ)
そんなかわいいシロスジヒゲナガハナバチは春のお花畑を忙しなく飛び回っている。
暖かい陽気の中で、癒されてみてはいかがだろうか。
【シロスジヒゲナガハナバチ】
ハチ目コシブトハナバチ科
成虫は4月~6月頃にかけて出現
体長12mm~14mm
本州から九州にかけて分布
日当たりの良い草原等に多く生息
幼虫は花粉団子を食べる
触覚が長いのが特徴のハチ。メスの触覚は長くない。