一般的にガというとチョウに比べて地味なイメージを持つ方が多いだろう。しかしそんなガの仲間で、黒地に白と金色の斑点を散りばめるという、なんともきれいな羽を持った者が存在する。それが今回紹介するマドガである。
マドガは羽を開いても2cmに満たない小さなガである。基本的にそれくらいのサイズのガは目立たない者が多いが、マドガは明らかに一線を画する羽をしている。
和名の由来は白い斑点模様が窓に見えるかららしいが、しかし実際に見てみると、そこまで窓には見えないような気がするが、それは言わないお約束である(黄色やら金色やらの模様が美しいので、それを和名に入れた方が・・・おっと誰か来たようだ)
雑木林やその周辺を基本的な住みかとしており、花の蜜を吸っているのをよく目撃する。
花の蜜を吸っている際は夢中なのか、ヘドバンをするがごとく体を振るわせていたりする。
中々派手な格好をしているが珍しい種類というわけでもなく、都市部近郊でもまとまった雑木林があれば生息している印象だ。
そんな日本では割と身近な種類であるマドガだが、日本固有種であるために海外では見ることができないようである(似たような者は存在するらしいので、興味がある方はぜひ海外に行ってみよう)
ガというと夜行性で、灯火を訪れたりする印象を持つ方も多いと思うが、マドガは昼行性である。そのためマドガに出会いたければ、日の高い時間帯に雑木林を歩くことだ。
小さいながらもキレイで存在感があるので、意外と見つけるのは容易である。
マドガのオスとメスはとてもよく似ており、一見すると区別がつかない。
実は見分け方は触覚の形で、上半分が櫛状になっているのがオスで、そうなっていないのがメスということになる。しかし、これは写真を撮って拡大するか、採集して虫眼鏡等で確認するなどしないと、よほど視力に自信がない限りは、肉眼で違いを区別することはほぼほぼ不可能だ。
また、お尻が細長く伸びているのがオスで、伸びていないのがメスという見分け方もある。こちらの方がわかりやすいが、それでも基本的に小さい蛾なので、肉眼で見分けるのは中々に難しいだろう。
こんなにも美しさに振れたマドガだが、幼虫はカメムシっぽい匂いを発するという。
カメムシの匂いを発するような芋虫が、なんとも美しいガになるというのだから、昆虫の世界は奥深いものである。
とにかくマドガは、小さくも美しい蛾なので、見かけるとテンションが上がること請け合いである。
小さいが故に、中々観察するのが難しいかもしれないが、是非ともじっくり観察していただきたい。
きっとあなたも、マドガの虜になることだろう。
【マドガ】
成虫は5月~9月頃にかけて出現
開張14mm~17mm
北海道から九州にかけて分布
雑木林や林縁等に多く生息
食草はボタンヅル
小さくも美しい蛾。林縁の花をよく訪れる。