シジミチョウの仲間と言うと小さなチョウの仲間で、気に留めてないと目立たないチョウであるが、可憐な羽や仕草で、人気の高い一群と言えよう。
そんなシジミチョウの中で、身近に生息する青いシジミチョウ3トップが存在する。それはヤマトシジミ、ツバメシジミ、そして今回ご紹介するルリシジミだ。
ルリシジミは春から秋までの長い期間見られるチョウで、冬以外であればいつでも会うことができる。
見た目としては先ほどご紹介した3トップの一角、ヤマトシジミとよく似ており、はじめの内はどちらか見分けることが中々難しいだろう(ちなみにツバメシジミは後ろの羽に尾状突起と呼ばれる尻尾があり、加えてオレンジのワンポイント模様があるため、見分けるのは容易である)
羽の模様や色味など違いがあるが、1番分かりやすいのは複眼の色だろう。ルリシジミが黒いのに対して、ヤマトシジミはくすんだなんとも言えない色をしている。
さて、似ているヤマトシジミとの見分け方がわかったところで一件落着、といきたいところだが、実はヤマトシジミよりももっと似ている種類が存在する。それがスギタニルリシジミだ。
これに関してはもはやほとんど同じような模様をしており、見分けるのは非常に難しい。
後羽の下の方にある黒点がくっつかないのがルリでくっつくのがスギタニルリという見分け方があるが、ここが分離するスギタニルリもいるし、分離しないルリも存在するので、なんとも悩ましい(詳しくは下の画像参照)
後は、色味がルリの方が明るくスギタニルリの方が暗いという違いがある。これは実際に見てみると明らかに違いがわかるので、フィールドワークで見分け方を掴む方が手っ取り早いだろう。
もっともスギタニルリは山地性が強く、都市部近郊にはほとんど生息していないので、埼玉のベッドタウンに住んでいる私が近所で見かけるのはほぼ間違いなくルリである。
生息場所の話をすると、ヤマトやツバメが拓けた草原を好むのに対して、ルリは雑木林やその林縁にも好んで生息する傾向にある。
ヤマトやツバメはカタバミやシロツメクサ等、背の低い植物を主な食草としているのに対して、ルリはマメ科やミズキ科、タデ科等の様々な種類の植物を食草としているため、様々な所に出没するというわけだ。
この辺りの融通が効くところも、ルリシジミが身近なチョウである所以だろう。
また、成虫においてもいろんな物を食するグルメで、各種花はもちろんのこと、路上で吸水する事も多い他、時には獣糞も訪れるという、かわいらしい見た目からは想像も付かない食性をしている。
要するにルリシジミは幼虫から成虫まで、様々な物を食して生きているたくましいチョウなのだ。
身近な所に存在して我々を迎えてくれるルリシジミ。かわいくもたくましいこのチョウは、昆虫観察をすれば必ず会う機会があるだろう。
是非ともルリシジミに触れて、昆虫観察の第一歩を踏み出したいものである。
【ルリシジミ】
成虫は3月~10月頃にかけて出現
前翅長12mm~19mm
北海道から九州にかけて分布
雑木林の林縁や草原等様々な場所で見られる
食草はマメ科、ミズキ科、ブナ科等様々な植物
身近な青いシジミチョウ代表選手。食草が幅広く様々な環境に適応している。