アゲハ。それはもはや今さら私が説明するまでもない超メジャー昆虫であろう。
というわけで今回の記事はここまでまた来週・・・というのもあんまりなので、頑張って紹介していこうと思う。
アゲハ蝶は2001年にポルノグラフィティの6枚目のシングルとして発表された楽曲でオリコン最高・・・
茶番はさておき、まず形態的な話としては、皆さんも想像が付くところであろう。
大型のチョウで黒地に薄黄色の模様があしらわれた羽の模様はとても華やかだ。
後ろの羽にあるしっぽ(尾状突起)が特徴的で、これは他のアゲハの仲間にも見られる特徴である。
アゲハと表記されることが多いが、他のアゲハチョウの仲間とより区別しやすくするため「ナミアゲハ」と呼ばれることもある(ナミとはすなわち「並」であり、普通という意味である)
実は身近なところでは、アゲハとよく似ているキアゲハという別種が存在しており、知らない方だとその辺りの区別がつかないだろう。
キアゲハは文字通りアゲハと比べると黄色がより濃く、存在感がある。色味が違うので慣れてくれば飛んでいるところを見るだけで見分けることができる。
確実な見分け方は羽の模様を見てもらえればわかる。前羽の付け根の模様がアゲハは線のようになるのに対して、キアゲハは線がなく塗りつぶしのような感じとなっている。
この2種類の見分け方は算数でいうところの九九くらい基本なので、皆さん必ず覚えるように(もっともこの2種類は中々止まらない系チョウなので、捕まえたりしないとじっくり観察するのは難しい)
アゲハは身近な存在で、住宅街でも普通に飛んでいるチョウなわけだが、それはひとえに、庭に植えてあるミカン科の木で幼虫が育つことが大きな要因だろう。
少し注意深く住宅街を歩くと、ミカン類の木を植えている家は結構多く、植木として人気な事がうかがえる。
そんな街の植木を活用して、アゲハは繁栄しているということだ。
特定の種類の植物でないとダメということもないので、手広く繁殖できるのも強みだ(逆に人里離れた所ではあまり見かけない印象がある)
また、幼虫に関してもおそらくチョウ界トップクラスの知名度を誇る存在であろう。
よく植木に産卵するので、子どもの頃に飼育したり自由研究の題材として取り上げた方も多いのではないか。
緑の体に独特の目玉模様があまりにもおなじみである。
危険が迫ると黄色の角(臭角と呼ばれ文字通り臭い)を出すことも有名だ。
そんな幼虫も小さいうちは鳥のフンのような色をしており、まさしく鳥のフンに擬態しているのではないかと言われている。
ちょっとマイナーな話をしておくと、アゲハは知覚できる色の範囲が広い昆虫と言われている。
昆虫は赤色が見えない者が多いのだが、アゲハはこの辺りもちゃんと識別できるようである。
そのためか、アゲハはツツジやヒガンバナ等、他のチョウがあまり吸蜜に訪れない赤系の花を好んで訪れる傾向がある。
美しく咲く花を訪れるアゲハはやはり可憐で、これぞ昆虫観察の醍醐味と言えよう。
我々の暮らしの中にも当たり前のように定着しているアゲハ。
その姿は美しく、だからこそこれだけの知名度があるのだろう。
昆虫観察はアゲハにはじまりアゲハに終わる。皆さんも昆虫観察の第一歩を踏み出してみよう
【アゲハ】
チョウ目アゲハチョウ科アゲハチョウ亜科
成虫は3月~11月頃にかけて出現
前翅長35mm~60mm
北海道から南西諸島まで全国に分布
住宅街や公園、草原や耕地等様々な場所で見られる
食草はミカン科各種
日本を代表するチョウ。住宅街でも普通に生息している。