カメムシ。そう、それはフローラルな香りを放ち、有機野菜を食する優雅な存在、、、なんて生易しいものではなく、要するに強烈な臭気と植物の汁を吸う害虫として悪名高い。
そんなカメムシの中でも、今回はクサギカメムシを紹介していきたい。
ルックスはTHEカメムシといった感じで、黒っぽいカラーリングが特徴だ。
カメムシの中でもかなり強烈な臭気を放つとしてお馴染みで、ということはカメムシの中でも最強クラスのポテンシャルを持っていると言えよう。
食する植物はクワやウメ、ミカンやリンゴやダイズ等様々だ。故に草原や林縁、農耕地等様々な場所で見られる普通種である。
ちなみにクサギカメムシのクサギは「臭木」という植物の事であり、要するにクサギでよく見られるから付けられた和名ということである(もちろん漢字からもわかる通り、クサギは葉から悪臭を放つ植物である)
そして、食する植物の種類を見て察した方も多いだろうが、要するに重要な農業害虫ということになる。
特に果樹にはかなりのダメージを与えてしまうようで、果実の汁を吸っては果実を傷めてしまう。
そして、前述の通り強烈な臭いを放つので、いわゆる衛生害虫としても本領を発揮する。
まあ強烈な臭いを出しても、人里離れた森の中でずっと暮らしているのであれば、我々が特に思う事はないが、このクサギカメムシは、越冬のために屋内に入り込んでくるというとんでもない習性を持っている。
クサギカメムシは平たい体型をしており、屋内に入り込むのに適しているのだ。
まあ屋内は雨風を防げるし、温度も安定しているので、越冬個体からしたらかなり居心地の良い場所になるので、納得といったところか。
ちなみに私は子どもの頃、山間部にある親戚の家の使われていない部屋を久々に開けたら、本種が大量に入り込んでいたのを見て衝撃を受けた事を未だに鮮明に覚えている(今なら嬉々として写真を撮っているであろう)
ただ、最近の家は密閉性も上がってきており、中々こうした越冬個体を見ることもなくなってきたので、今にしてみたら惜しいことをしたと思わなくもない(まあ自宅ではないのでいくらでも好き勝手言えるわな)
そんなクサギカメムシだが、幼虫はちょっとトゲトゲでゴツい体つきをしている。カメムシの仲間は、成虫と幼虫で全然姿形色が違うじゃん!みたいな種類が多かったりするのだが、クサギカメムシはそこまで違う感はない。親子なんですか?あーどことなく面影ありますねーといった感じだ。
まあそんなクサギカメムシだが、何かと嫌われてしまいがちではあるが、私はその堂々とした姿を見るのが結構好きである。カメムシにしては大型なので存在感はピカイチだ。
昆虫観察という意味ではクサギカメムシは中々立派なので、是非とも探してみたいところである。
【クサギカメムシ】
成虫は4月~11月頃にかけて出現。また成虫で越冬する。
体長13mm~18mm
本州から九州にかけて分布
林縁や畑、果樹園等に多く生息
様々な植物の汁を吸う
黒っぽい体色のカメムシ。強烈な臭いを放つ。