イチモンジセセリと言えば、どこにでもいる身近なセセリチョウの仲間で、河川敷等に行けば普通にたくさん目撃する普通種である。
そんなイチモンジセセリの頭に「銀」が付くのが、今回紹介するギンイチモンジセセリである。
セセリチョウというと、ガに間違われる種類が多いが、特にギンイチモンジセセリは、知らない方が見たらチョウだとは思わないだろう。他のチョウと比べてもかなり小さいし、飛び方もセセリチョウのような俊敏な感じでもなく、どことなくフラっとしたガっぽい感じである。
イチモンジセセリの名を冠しているが、イチモンジセセリとそこまで近縁というわけではない。実際見た目もそんなに似ていない。
というよりギンイチモンジセセリは、他のチョウと比べてもちょっと異彩を放っている。似ている種類も存在しないので、見分けるのも容易だ。
形態を見ていくと、裏面の白いラインが大きな特徴で、これが和名の由来にもなっている。この白いラインは春型だとくっきりはっきり表れるのだが、夏型はなんだかボヤっとする感じになる。
一方の表面は、焦げ茶をさらに濃くしたような無地の地味な感じになっており、イチモンジセセリのような白い斑点もない独特な感じとなっている。
河川敷の草原や休耕地等の拓けた所に生息し、イネ科の様々な植物を食草としており、分布もまあまあ幅広いのだが、なぜか生息地は局地的で、どこにでもいるようなチョウというわけではない。私が住む埼玉県では準絶滅危惧種に指定されている他、多くの都道府県でレッドデータに掲載されている、中々のレアキャラと言えよう。
実際見かける時も、1度にたくさん見られるということは少なく、1頭だけフラッと現れる事の方が多いと感じる。
個人的な話をすると、私がはじめてギンイチモンジセセリを見たのは川で釣りをしていた時だったのだが、あまりにテンションが上がって釣りそっちのけで写真を撮っていた事を思い出す。
まあまあなレアキャラで、他のチョウにはないデザインなので、目立たないチョウではあるが、見つけるとなんだか特別感のあるチョウだ。
実際フィールドワーク中に、ギンイチモンジセセリの保護活動をしているおじさんにも会ったことがあるので、中々の人気者のようである。
そんなこんなでギンイチモンジセセリは、目立たぬ小さな体で我々を楽しませてくれる。にわかにはチョウとは信じがたいが、立派なチョウの仲間である。
あなたもギンイチモンジセセリを探して、テンションを上げてみてはいかがだろうか。
【ギンイチモンジセセリ】
チョウ目セセリチョウ科チョウセンキボシセセリ亜科
春型は4月~5月頃、夏型は7月~8月頃にかけて出現
前翅長13mm~21mm
北海道から九州にかけて分布
河川敷の草原等に多く生息
食草はイネ科のススキ等
白いラインが特徴のセセリチョウ。なぜか生息地が局地的である。