
黄色い模様が特徴のキスジホソマダラ。ガっぽくない容姿だ
チョウは日本に約250種類ほどが生息しているのだが、ガはなんと日本に5000種類以上存在していると言われており、かなり種類が多い事がわかる。故に様々な形態の者が存在するのは必然というもの。今回は、そんなガの仲間の中でも、パッと見ガっぽくないキスジホソマダラを紹介していこうと思う。
ガの仲間にしてはかなり羽が細長く、どちらかというとハチのような雰囲気すら感じる。何も知識がない方が見たら、ガとは思わないのではないだろうか。
キスジホソマダラはマダラガ科のガなのだが、このような羽の形はマダラガ科の特徴であるため、見分ける際の参考にすると役に立つかもしれない(もっともガは種類がめちゃめちゃ多いので、一筋縄ではいかないのよねこれが)
特徴はやはり和名の由来にもなっている黄色い模様だ。この黄色い模様が美しいので、小さいガではあるものの、存在感は中々のものがある。微妙に青みがかった光沢があるのも美しい。
オスとメスを見分けるのは簡単で、触覚を見れば一発でわかる。櫛状なのがオスで、線状なのがメスだ(もっとも小さいガなので、肉眼では中々区別が付きにくいかもしれないが)
ちなみにこの見分け方はガあるあるで、なんでもメスが発するフェロモンを察知するために、オスの触覚はこんな形状をしているんだとか。そう考えると、オスが櫛状の触覚をしているのも納得というものである。

メスは触覚が櫛状になっていない。これはガあるあるだ
多くのガは夜行性だが、キスジホソマダラは昼行性で、昼間花を訪れたりしている。この辺りもガっぽくないポイントだ。
ただ、夜に灯火にやってくることもあるようなので、完全にガの心を忘れたわけではないようである。
そんなキスジホソマダラだが、私が住んでいる埼玉南部、東京のベッドタウンで見ることはほとんどない。ある程度自然が豊かな所に行ってはじめてお目にかかることのできる印象だ。
逆に山地では、多くのキスジホソマダラが群がって花を訪れたりすることが珍しくないほど、たくさん生息していたりする。確実に見たい方は、6月~7月辺りに山の方に繰り出すといいだろう。きっと大勢でお出迎えしてくれる。

山地ではよく花に群がっていたりする
ガっぽくないけどガであるキスジホソマダラ。そんなキスジホソマダラは、小さいながら美しい模様を携えて飛んでいる。
是非ともその美しさに触れて、新たなガの形を体感してみてはいかがだろうか。
【キスジホソマダラ】
鱗翅目マダラガ科クロマダラ亜科
成虫は5月~9月頃にかけて出現
開帳16mm~24mm
北海道から九州にかけて分布
雑木林の林縁等の多く生息
食草はイネ科のススキやササ等
黄色い模様が特徴的なガ。山地では群れていることもしばしばある。