
アメンボ赤いなあいうえお(まあアメンボは赤くないけど)
アメンボといったら、おそらく日本人で知らない者はいないと言っていいほどに有名な昆虫であろう。水面を浮きながら移動する様子は、よく忍者などに例えられたりする。
アメンボ赤いなあいうえおでもおなじみだ。
しかしその実、詳しい生態をご存知の方は少ないのではないか。
今回はそんなアメンボを深掘りしていこうと思う。
まず触れていきたいのは、アメンボの名前の由来だ。諸説あるが、持つと飴のような匂いを発することから、飴のような匂いの棒のような虫→あめんぼう→アメンボと呼ばれるようになったという。
ちなみにアメンボはカメムシの仲間であり、なるほどそう考えると匂いを発するというのも納得である(もしアメンボの発する匂いがカメムシのような悪臭だったら、もっと嫌われていたであろう)
次にアメンボが水に浮く仕組みをお話したい。アメンボの足先には無数の毛が生えており、そこに足から分泌される油分を付着させることで水をはじくことで、浮いていることができる。科学的な用語でいうと、表面張力を利用して浮いているのだ。
ということは要するに、表面張力を失うとアメンボは浮くことができなくなってしまう。例えば油分の多い液体(牛乳とか)であるとか、台所洗剤が混ざった水なんかだと、アメンボは浮かべなくなってしまうので、注意が必要だ(?)
ちなみにそんなアメンボを観察していると、単独でいる個体よりもペアでいる個体の方が多いように感じることがある。水面を見ると至るところであちちあちちなので、リア充爆発しろと叫びたくなること請け合いである。

背負いアメンボは水辺でよく見る光景だ
そんな水に浮くのが特技のアメンボだが、それだけでなくきちんと飛ぶこともできる。大雨後の水溜まりにアメンボがいるのも、飛べるからに他ならない。
もっともアメンボに限らず、タガメやゲンゴロウ等の水性昆虫は基本的に飛ぶことができるので、むしろマストな能力である。
そしてアメンボの生態であまり知られていないのは、その食性ではないだろうか。
アメンボは主に、水面に落下した昆虫を補食し、口吻を刺してその体液を吸うという、なんともサイコな生態をしている(ちなみにカメムシの仲間は、草食肉食問わず口吻をぶっ刺して食事をするので、この辺りもカメムシの仲間と言われて納得である)
時に大きい昆虫が浮いている場合は、かなりの数が群がって食事している光景を目撃することもある。これは慣れていない方からしてみたら中々ホラーな情景ではないだろうか。
アメンボというと、なんとなくかわいらしい昆虫のように扱われることも多いが、実は死肉を貪るハイエナのような一面も持ち合わせているというわけだ。

水面に落ちたトンボに群がるアメンボ。なんかハイエナっぽい
そんなこんなでアメンボの生態について語ってきたわけだが、アメンボはとにかく私たちの身近な所でも多く見られる存在だ。流れのない池や沼などに行けば、見かけないということはまずないだろう。故に観察しやすい昆虫でもある。
みなさんも身近なアメンボの奥深さに触れてみてはいかがだろうか。
【アメンボ】
半翅目アメンボ科
成虫は4月~10月頃にかけて出現
体長11mm~16mm
日本全国に分布
池や沼、流れの緩やかな場所に生息
水面に落下した昆虫を捕食
言わずと知れた水面に浮かぶ昆虫。飴のような匂いを発することが名前の由来