昆虫散歩道

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クロツバメシジミ・・・特殊な環境に生息する小さなシジミチョウ

小さなチョウであるクロツバメシジミ。生息環境が特殊だ

チョウを探すときには、皆さんどんなところに赴くだろうか。草原の花畑だったり、樹液の出る雑木林だったりが、チョウを探す時の王道の場所だろう。しかし中には一風変わった場所を住処にしているものも存在する。それが今回紹介するクロツバメシジミである。

 
クロツバメシジミは文字通りシジミチョウの仲間で、シジミチョウよろしく非常に小さい。表がブルーのツバメシジミに対して、クロツバメシジミの表は、名前の通り真っ黒である。それゆえ中々目立たない存在で、昆虫に興味がなければまずスルーしてしまうだろう。

表は文字通り黒い

こちらはツバメシジミ。鮮やかなブルー
それでもチョウ好きには人気のチョウで、わざわざクロツバメシジミを見るために、遠征をするという方も珍しくない。なぜ見逃してしまいそうな目立たないチョウがそんなに人気なのかといえば、そもそも生息地が限られている珍しいチョウだからだ。
 
一風変わった場所を住処にしていると前述したが、それはひとえに、クロツバメシジミの食草に要因がある。クロツバメシジミベンケイソウ科のツメレンゲやイワレンゲ等を食草にしているメレンゲやイワレンゲ等は普通の地面には生えておらず、岩場や石垣といったところに生えるという性質を持っている
ということは、クロツバメシジミも必然的にそうした所を住処としているというわけだ。
また、そうした食草のある場所から比較的離れることがないので、よりピンポイントに生息している傾向にある。
岩場や石垣などは、どこにでもあるものではない特殊な環境であり、メレンゲやイワレンゲ自体も珍しい植物なので、クロツバメシジミが珍しいのも必然といえよう。
それ故に、分布は点々としており、生息地している都道府県でも、多くの都道府県で絶滅危惧種に指定されているといった状況だ

食草のツメレンゲ。岩肌からにょきっと生えてくる
そんな感じでかなり特殊な環境を住処とし、珍しいクロツバメシジミだが、発生する時期自体は大体5月〜11月と、かなり長い期間見られる。なので、分布が限られてレア度が高いチョウではあるが、見つけるチャンス自体は結構あるチョウだ。
また、長いこと飛んでいることが少なく、比較的すぐに止まるので、見つけさえすれば観察はしやすいチョウだと言えよう。
分布が限られているという点も、生活環境が特殊なので、逆にポイントを絞りやすかったりするというメリットもある。人気のチョウなので、生息地の情報も意外とググれば落ちていたりする。もしかしたら、あなたの住む地域にも生息地が存在しているかもしれない。
珍しいチョウなので、見つけた時の嬉しさもひとしお。食草のツメレンゲも一風変わった植物なので、セットで楽しむことがおすすめだ。
あなたもクロツバメシジミを探してみてはいかがだろうか。
 

チョウ目シジミチョウ科ヒメシジミ亜科

成虫は5月~11月頃にかけて出現

前翅長10mm~16mm

関東から九州にかけて局地的に分布

食草の生える露岩地や河原等に生息

食草はベンケイソウ科のイワレンゲやツメレンゲ、タイトゴメ等

表が黒いツバメシジミ。多くの地域で絶滅危惧種に指定されている。

 

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