昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

ニイニイゼミ・・・小柄で保護色を発揮するフライング気味のセミ

独特な模様のニイニイゼミ。夏休み前に普通に現れる

子どもたちが夏休みを迎える頃、夏を代表するセミたちも本格的に活動を開始する。
そんなセミの中でも、子どもたちの夏休みよりも一足早く本格的に活動を開始してしまうのが、今回紹介するニイニイゼミである。

 

前述の通り、日本を代表するアブラゼミやらミンミンゼミやらは7月中旬頃からの発生が多いが、ニイニイゼミは6月の終わり頃から本格的に現れ始める。そのため7月の始め頃に鳴いているセミがいたら、大体ニイニイゼミである

 

さて、私はさっそく物申したい。それは、ニイニイゼミの名前の由来だ。
ミンミン鳴くからミンミンゼミツクツクボウシと鳴くからツクツクボウシ。ではニイニイゼミニイニイ鳴くからニイニイゼミ、、、否、どう聞いてもニイニイとは聞こえない!!!
図鑑等の記載で多いのは「チー」であるが、個人的にはジーという感じに聞こえる。だったらチーゼミかジーゼミにしなきゃおかしいじゃないか! 一体全体ニイニイってなんなんだ!ちむどんどんのニーニーか!?!?
、、、取り乱しましたが、まあなんかアブラゼミよりマイルドな鳴き声だからニイニイとなったのだろう。きっとそうだ。うんうん。

 

そんなニイニイゼミ全身が木肌っぽい色味をしており、かなりホゴショキーである(そんな単語はない)
鳴き声はすれど中々姿を見つけられないこともよくあり、私はよく木を見上げながら見つけられずに、不審者っぽくなってしまう。アブラゼミやミンミンゼミと比べても小さな体つきをしているので、余計に見つけにくいのもあるかもしれない。
ちなみに世界的に見ると羽が透明でないセミは少数派らしく、それを基準にして見ると珍しいセミだと言えよう。
まあ実際は、都市部でもまとまった雑木林があれば生息している可能性が高いほど身近な存在である。


しかも最近は、住宅街でも結構目撃する頻度が増えたような気がしている。その肌感を裏付けるというわけではないが、近年都市部で復活傾向にあるようである。気候の変化や環境への適応等様々な要因が考えられるようだが、個人的には湿度が関係しているのではないかと思っている。
というのもニイニイゼミは、乾燥した土壌を好まずある程度湿気がある土壌を好んで幼虫が成長していくからだ。その証拠に、ニイニイゼミの抜け殻は泥だらけであるので、他のセミの抜け殻との見分けは容易だ。
要するに成虫も幼虫も簡単に見分けが付くので、日夜同定に苦慮している我々にとても優しいセミだと言えよう。

泥だらけの抜け殻。湿っている地面にいるため泥だらけになる

他のセミに先駆けて登場するニイニイゼミ。見た目もかなりの個性派なので、誰でもすぐにニイニイゼミだとわかるだろう。
見つける側としては、保護色なのが辛いところではあるが、見つけた時の嬉しさもひとしお。
鳴き声が聞こえたら是非とも探してみよう。

 

ニイニイゼミ

半翅目セミセミ亜科

成虫は6月~9月頃にかけて出現

体長20mm~24mm

全国に分布

雑木林や果樹園等に多く生息

様々な木の汁を吸う

独特なまだら模様のセミ。抜け殻が泥だらけなのも大きな特徴

ヒメギス・・・黒光りした小柄なキリギリス

黒光りする体色のヒメギス。意外と身近なところで見られる

皆さんは、キリギリスというとどんな昆虫を想像するだろうか。草むらの中にいる緑のバッタっぽいアイツを思い浮かべる方がほとんどだろう。そんなキリギリスの仲間に、黒塗りの高級車のような装いをした者が存在する。それが今回紹介するヒメギスだ。

 

前述の通り、とにかく特徴は黒い墨汁でもかけられたのかと疑いたくなるほどに黒い。色合い的にはキリギリスよりもコオロギと言った方がしっくりくるだろう。

ちなみにヒメギスは幼虫の頃からすでに黒く、明らかに草むらで異彩を放っている存在と言っても過言ではない。

 

さてここで、私は全身全霊を込めて異議あり!」と申し上げたい。それはヒメギスという和名に対してである。
ヒメギスは漢字で書くと「姫螽蟖」要するに小さなキリギリスという意味である。
まあ確かに、ヒメギスはキリギリスよりも一回り小さいので、そうした和名が付けられるのも妥当っちゃあ妥当かもしれない。しかし、冷静に考えていただきたい。どう考えてもこやつの名にふさわしいのは「クロギス」だ!!! 
クロギスだったらどれだけ分かりやすかったことか!おかげで私はフィールドワークする度に「あーコイツだコイツ、あれだ、、あれよ、、、あれ、、、あのー、、、ヒメギスだ」みたいな感じになってしまうんだ!どうしてくれるんだ!!責任取ってくれよ!!(記憶力が悪いだけでは?)

 

取り乱したが、改めてヒメギスの生態を見ていこう。
食性は各種植物やその他の昆虫を食べる雑食性キリギリスに比べて昆虫はあまり食べず、植物をより好むようだ

 

メスのお尻に付いている産卵菅は、キリギリスやヤブキリ等と比べて短く、ちょっと上向きになっている。上記の2種類が土中に産卵するのに対して、ヒメギスは植物の茎に産卵するので、長い産卵菅が必要ないのだろうと個人的に考えている。

メス。キリギリス系はお尻の産卵管で雌雄を見分けるのがマストだ

参考までにキリギリスのメス。だいぶ産卵管が長い

 

黒塗りの高級車のような見た目だが、実は結構身近な所で見られる普通種である。「私こんな黒いキリギリスなんて見たことないわよ」と通りすがりのマダムに言われそうだが、それはヒメギスが草むらの中にいて目立たないからである。
これはヒメギスに限らず鳴く虫全般に言えることだが、彼らは基本的に草かげを主戦場としているため、声はすれど見つからない現象が起きやすい
しかも少しでも不用意に近付けば途端に鳴くのを止め、草の奥に逃げ込んでしまう。そりゃあ見つけるのが難しいわけである。

 

肝心の鳴き声について触れていたかったが、ジージーというか「ジリリリ」というかそんな感じである(適当)
まあ、その辺の草むらで大きい声で鳴いている昆虫がいたら、大体ヒメギスである(適当がすぎないか?)

 

ヒメギスにはかなり似ているイブキヒメギスという種が存在するのだが、こちらは山地性で、関東平野ど真ん中在住の私が近所でお目にかかる事はない。
一方で、コバネヒメギスなるものも存在する。その名の通り羽が小さいヒメギスで、パッと見幼虫かと思ってしまうルックスだ。こちらは平野部にも普通に生息しているので、注意して見てみると面白い。

コバネヒメギスの成虫。背中に申し訳程度の羽がある

そんなこんなで知らぬ間に身近な所に存在していたヒメギス。いる所にはめちゃくいゃいるので、なんとか目を凝らして探してみよう。独特の黒塗りがあなたをお出迎えしてくれるはずである。

 

【ヒメギス】

バッタ目キリギリス科キリギリス亜科

成虫は6月~9月頃にかけて出現

体長17mm~27mm

北海道から九州にかけて分布

湿り気のある草地に多く生息

様々な植物や他の昆虫を食べる

黒い体色のキリギリス。身近な草地でも割と生息している。

 

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キアゲハ・・・身近でも存在感抜群の美しい羽

キアゲハの圧倒的存在感パねえ

アゲハといえば日本で知らない者はいないというレベルで、誰もが知っている蝶であろう。
住宅街でも普通に飛んでいるし、成虫が見られるのも春から秋までと実に長いので、そういった面でも、日本国民に馴染み深い蝶であると言える。

しかし、そんなアゲハチョウの仲間に、もう1種類似ている者が存在する事を知っている方は、意外と少ないのではないか。それが今回紹介するキアゲハである。
おそらく知識のない方が飛んでいるところを見たら、間違いなくアゲハチョウと思ってしまうだろう。

こちらはアゲハ。キアゲハと双璧だ

そうは言ったものの、実は見分けるのは難しくない。キアゲハは文字通りアゲハチョウに比べて鮮やかな黄色をしており、大きさも一回り大きいので、よくフィールドワークをする人からしてみたら、簡単に見分けられる。
裏面の模様もよく見ると全然違うし、私が子どもの頃に教わった見分け方が、表羽の付け根から縞模様があるかどうかという点だ。
縞模様があるのがアゲハチョウで、ないのがキアゲハという、なんともわかりやすい見分け方をしている。
私がもし、蝶の教科書を作るとしたら、2ページ目にアゲハチョウとキアゲハの見分け方を載せるだろう。それくらい両種を見分けるのは基本中の基本なのだ。

両種の見分け方はこれでバッチリ

裏面もよく見ると結構違う

そんな両種だが、実は生態は結構異なっている部分がある。まず明らかに違うのが幼虫の食草だ。
アゲハはミカン科の植物を食草とするのに対して、キアゲハはセリ科の植物を食草としている
そのためかアゲハは住宅街の公園や林縁等に多く、キアゲハは畑や拓けた草原に多い
また、キアゲハはセリ科であれば様々な植物を食するグルメであり、パセリやニンジン等の農作物も食べるので、これらを育てている方は注意が必要である。
ちなみにセリ科を主な食草としているアゲハチョウの仲間は、日本ではキアゲハが唯一であり、身近な所に生息しているが、実は結構尖っている存在である(ちなみにアゲハチョウの仲間はミカン科を食草としている者が多い)

ちなみに成虫同士はそっくりな両種だが、幼虫はまっっっっっっっったく似ていない
アゲハの幼虫はおなじみの目玉模様のある芋虫だが、キアゲハの幼虫は縞模様のなんだかすごい柄をしている

まずはおなじみアゲハの幼虫をご覧ください

一方のキアゲハの幼虫。似ても似つかん

しかしなぜこんなすごい柄になってしまったのか。アゲハチョウの仲間はアゲハ同様、緑の目玉模様付きの幼虫が多いので、余計に異彩を放っている。
ちなみにアゲハの幼虫は何か危険が迫ると臭角という角を出すのだが、キアゲハの幼虫も臭角をしっかりと出す。この辺りはちゃんとアゲハを踏襲しているので、ホッと一安心といったところである(?)

 

しかしキアゲハは身近な存在なのでスルーしがちであるが、じっくり観察してみると、かなり美しいチョウである。
サイズも大きく草原を優雅に飛び回る姿は圧倒的存在感だ。
これが珍しい存在だったらさぞかしマニア受けがすごかったのではと思う。
もっともマニアに受けようが受けまいが、キアゲハの美しさに変わりはない。

身近な存在だが他の仲間とは異彩を放ち、圧倒的な存在感で我々を楽しませてくれるキアゲハ。
こんなに美しいチョウが身近な所で見られるというのだから、探しに行かない手はない。
あなたも美しいキアゲハに会いに行ってみよう。

 

【キアゲハ】

チョウ目アゲハチョウ科アゲハチョウ亜科

成虫は3月~11月頃にかけて出現

前翅長36mm~70mm

北海道から九州にかけて分布

草原や耕作地等拓けたところに多く生息

食草はセリ科の各種

アゲハと双璧を成す存在。鮮やかな黄色が美しい。

 

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クサギカメムシ・・・強烈な臭いで人々を翻弄するTHEカメムシ

黒っぽい色のクサギカメムシ。中々立派な容姿だ

カメムシ。そう、それはフローラルな香りを放ち、有機野菜を食する優雅な存在、、、なんて生易しいものではなく、要するに強烈な臭気と植物の汁を吸う害虫として悪名高い
そんなカメムシの中でも、今回はクサギカメムシを紹介していきたい。

 

ルックスはTHEカメムシといった感じで、黒っぽいカラーリングが特徴だ。
カメムシの中でもかなり強烈な臭気を放つとしてお馴染みで、ということはカメムシの中でも最強クラスのポテンシャルを持っていると言えよう。

 

食する植物はクワやウメ、ミカンやリンゴやダイズ等様々だ。故に草原や林縁、農耕地等様々な場所で見られる普通種である。


ちなみにクサギカメムシクサギ「臭木」という植物の事であり、要するにクサギでよく見られるから付けられた和名ということである(もちろん漢字からもわかる通り、クサギは葉から悪臭を放つ植物である)


そして、食する植物の種類を見て察した方も多いだろうが、要するに重要な農業害虫ということになる。
特に果樹にはかなりのダメージを与えてしまうようで、果実の汁を吸っては果実を傷めてしまう。

 

そして、前述の通り強烈な臭いを放つので、いわゆる衛生害虫としても本領を発揮する。
まあ強烈な臭いを出しても、人里離れた森の中でずっと暮らしているのであれば、我々が特に思う事はないが、このクサギカメムシは、越冬のために屋内に入り込んでくるというとんでもない習性を持っている。
クサギカメムシ平たい体型をしており、屋内に入り込むのに適しているのだ
まあ屋内は雨風を防げるし、温度も安定しているので、越冬個体からしたらかなり居心地の良い場所になるので、納得といったところか。
ちなみに私は子どもの頃、山間部にある親戚の家の使われていない部屋を久々に開けたら、本種が大量に入り込んでいたのを見て衝撃を受けた事を未だに鮮明に覚えている(今なら嬉々として写真を撮っているであろう)
ただ、最近の家は密閉性も上がってきており、中々こうした越冬個体を見ることもなくなってきたので、今にしてみたら惜しいことをしたと思わなくもない(まあ自宅ではないのでいくらでも好き勝手言えるわな)

 

そんなクサギカメムシだが、幼虫はちょっとトゲトゲでゴツい体つきをしている。カメムシの仲間は、成虫と幼虫で全然姿形色が違うじゃん!みたいな種類が多かったりするのだが、クサギカメムシはそこまで違う感はない。親子なんですか?あーどことなく面影ありますねーといった感じだ。

クサギカメムシの幼虫。まあ羽がなくなったらこんなもんか

まあそんなクサギカメムシだが、何かと嫌われてしまいがちではあるが、私はその堂々とした姿を見るのが結構好きである。カメムシにしては大型なので存在感はピカイチだ。
昆虫観察という意味ではクサギカメムシは中々立派なので、是非とも探してみたいところである。

 

クサギカメムシ

半翅目カメムシ

成虫は4月~11月頃にかけて出現。また成虫で越冬する。

体長13mm~18mm

本州から九州にかけて分布

林縁や畑、果樹園等に多く生息

様々な植物の汁を吸う

黒っぽい体色のカメムシ。強烈な臭いを放つ。

 

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ラミーカミキリ・・・美しい水色と個性豊かにあしらう黒色の模様

ライトブルーが美しいラミーカミキリ。小型のカミキリムシだ

昆虫には当然和名というものが付けられており、各々生態なり見た目なりの特徴を表現した名前が付けられている。そして、和名には基本的に漢字が当てられているものだが、漢字がない和名を付けられた者も存在したりする。ラミーカミキリはそんな昆虫の1種だ。

 

そもそも、ラミーとはなんぞやというところだが、イラクサ科の植物の1種で、要するにラミーカミキリラミーを食べるからラミーカミキリという名が付けられたわけである。昔富士通のパソコンに入っていた「ラミィの大冒険」とは関係ないので間違えないように(誰も間違えねえよ)

 

水色を基盤として黒の模様が入っており、とても美しい
体長は大きくとも2cm弱とかなり小型で、飛んでいるところはなんだかハチを思わせる
小型だからか身軽なようで飛ぶ頻度は高く、近付くとそそくさと飛んで逃げてしまうことが多い。

 

模様には結構個体差があり、小さいカミキリムシなので目を凝らさないといけないが、各々の違いを楽しむのも中々面白い。

模様には個体差がある。これを楽しむのもまた一興

カミキリムシというと木に穴を空けて産卵し、その木の中で幼虫が育つ事でお馴染みだが、ラミーカミキリイラクサ科のカラムシ等の茎の中で育つ
故にそうした植物に依存して育つのか、カラムシの群落ではかなりの数が見られるが、そうでない所では中々見かけないような印象がある。

 

実は幕末の頃日本にやってきた外来種であるとされている。これはどうやら、繊維の原料となるラミーを輸入した際に移入してきたようである。
また、元々温暖な地域を生息域としているので、寒い地域には生息していない(具体的には冬季の平均気温が4℃の地域が北限のようである)
昔の図鑑では西日本にしかいないという記載がされているものも見かけたが、現在は私が住んでいる埼玉県でも普通に見られるようになっている
皆さんお察しの通り、近年の温暖化の影響で分布を北へと拡大させており、東北地方でも目撃例があるようである

 

超個人的な話ではあるが、ラミーカミキリは子どもの頃かなり印象に残っていたカミキリムシである。それは前述のように和名にラミーと名付けられており、図鑑の中でも明らかに異彩を放っていたからだ。
子どもの頃はまだ関東に生息していなかったのか、実物を見たことはなかったが、とにかくラミーってなんだよ!とツッコんでいたのを覚えている。
そして、大人になってはじめてラミーカミキリを見たときに感じたのは「ちっせえ!!!」だった。
和名とカミキリムシという印象だけで、まあまあゴツい種類を想像してしまっていた私が悪い話であるが、それにしても小さくて、なんだか拍子抜けしてしまったわけだ。
ツマグロオオヨコバイの記事でも言及したが、どうも私は図鑑と実物のギャップにショックを受けやすい体質のようである。

 

そんな小さなラミーカミキリだが、美しいカラーリングで我々を楽しませてくれる存在であることに間違いはない。
最近は関東でも見られるようになって、埼玉在住の私でも身近な存在になってきている。
ラミーカミキリを探して、思い思いの装飾を楽しんでみてはいかがだろうか。

 

ラミーカミキリ

甲虫目カミキリムシ科フトカミキリ亜科

成虫は5月~7月頃にかけて出現

体長8mm~17mm

本州から九州にかけて分布

雑木林やその林縁の草地に多く生息

幼虫はラミーやカラムシ等の茎等を食べる

水色が美しいカミキリムシ。幕末頃日本にやってきた外来種とされている。

 

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オオシオカラトンボ・・・光る黒い目と水色の体は一人前の証

オスのオオシオカラトンボ。目が黒いのが特徴

参考までにシオカラトンボ。目が青っぽく体も細め

シオカラトンボというと、日本中のあらゆる所に生息するポピュラーなトンボであり、昆虫に詳しくない方でも知名度が高いのではないだろうか。
そんなシオカラトンボより大型で存在感のあるトンボが今回紹介するオオシオカラトンボである。

 

シオカラトンボよりも水色が濃く、複眼が黒いので比較すると結構イカつい印象を受ける。
体格もシオカラトンボよりしっかりしているので、水辺を飛び回っている姿は中々貫禄がある。


シオカラトンボのように住宅街真ん中に現れるようなことはほとんどないが、都市部周辺でも自然多めの公園の池等に行けば普通に生息している
分布も北海道から南西諸島まで生息しており、実は結構身近な存在だと言えよう。

 

オオシオカラトンボの水色の体色は粉を吹いている故なのだが、これは成熟した個体の証でもある。実は未成熟のオスはまったく違う体色をしており、ほぼほぼメスと同じような感じになっている。なので、未成熟個体はオスかメスか非常にわかりづらい
お尻の突起の形で見分けられるので、細かくてわかりにくいがなんとか観察してみよう。
ちなみにメスは成熟してもそのままの体色なので、分岐点はオスの粉ふきという事である。

未熟オス。色が全然ちげえ

メス。メスは未熟も成熟もこんな色

雌雄はお尻で見分けられる。中々細かい

実はトンボが成熟するにつれて体色が変わるのはごくごく普通の事であるので、結構ややこしかったりする。赤とんぼとしておなじみのアキアカネなんかも未熟と成熟でだいぶ色が異なっている。
しかし、成熟しているかどうかが一目でわかってしまうというのはなんとも恥ずかしいような気がする。人間は特に見た目で未熟かどうかがわからないので、いやあよかったよかった(?)

アキアカネも成熟と未成熟でこれほど違う

そんなオスのオオシオカラトンボは中々漢気溢れるようで、メスが産卵しているところを見守るように飛んで護衛したりする
奥さんを守っているなんてなんて素敵な、、、!と思った方もいるかもしれないが、トンボは同じ相手と添い遂げる事などなく、また別の交尾相手を探しに飛んでいってしまう

メスを守るためにホバリング。これがトンボの漢気である

さらに、交尾中の個体に凸することも全然普通にあったりする(メスの護衛に熱心なのも、そうした事情があるからではないかと邪推してみる)もはや子孫を残すためにはなんでもござれな世界と言えよう。
ちなみにこれもオオシオカラトンボのみならずトンボ界隈では普通の事なので、皆さんショックを受けないでいただきたい。

まあ要するに、トンボはトンボで子孫を残すために全力を捧げているわけである。それを人間の倫理観で否定するなどおこがましいというもの。そうやって何代も命を繋げてきたと思うと、なんだか素晴らしいなと思うような思わないような、まあ思うことにしよう!そうしよう!うんうん。

 

とまあ無理やり納得させてしまったが、トンボの世界は中々熾烈で、縄張り争いもかなり激しい。そんな死線を潜り抜けていると思うと、かっこよさも倍増というもの。オオシオカラトンボの黒光りする複眼もなんだかめちゃめちゃかっこよくないだろうか。
そんな争いを制したオオシオカラトンボのかっこよさに触れる時、昆虫観察の醍醐味を感じることができるのだ。

 

【オオシオカラトンボ

トンボ目トンボ科

成虫は5月~11月頃にかけて出現

体長52mm~61mm

日本全土に分布

林縁の池や湿地等に多く生息

昆虫を捕食

シオカラトンボより少し大きいトンボ。黒い複眼が特徴。

 

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コチャバネセセリ・・・小さくもちょっとおしゃれなセセリチョウ

羽の脈と縁がはっきりとしているコチャバネセセリ

こちらはチャバネセセリ。茶色一色って感じ

我が国にはチャバネセセリなるチョウが存在するのだが、昆虫に興味がなければ中々知られていない存在だろう。チャバネセセリはセセリチョウの仲間で、とても小さく素早く飛ぶのが特徴である。
そんな小さなチャバネセセリに、さらに「コ」が頭に付いたチョウが存在する。それが今回紹介するコチャバネセセリというわけだ。

 

和名からさぞかし小さなセセリチョウなのだろうと思われるかもしれないが、正直チャバネセセリと同じくらいの大きさである。
形態としてはチャバネセセリと違って羽の脈が黒く出るので、チャバネセセリと見分けるのは容易だ(鱗粉がかすれて見分けにくい個体もいるのでその辺は注意が必要である)
全体的に茶色のチョウなので、地味で目立たない系であることは否めないが、よく見かけるセセリチョウ代表のイチモンジセセリやチャバネセセリと比べると、ちょっと装飾が豊かであり、なんだかおしゃれな感じがする。

 

飛んでいる姿はいわゆるセセリチョウといった感じで、飛び方も素早い。しかし、長時間飛び続けるという感じでもなく割とすぐに止まる
セセリチョウお得意の羽を半開きにするジェット機みたいな独特の止まり方も披露してくれるので(私はセセリ止まりと呼んでいる)THEセセリチョウの1種といった感じだ。

 

図鑑では、都市部にも比較的多く生息しているとの記載が多いが、私が住む埼玉南部のベッドタウン周辺ではあまり見かけることがない。
しかし、少し自然の多い地域に足を運ぶと、そこらじゅうで飛んでいるのを見かけるほどで、ファーストチョイスになっていることも珍しくない。

 

早い者は4月の終わり頃から発生し、チャバネセセリやイチモンジセセリ等、同系統の他のセセリチョウに先駆けて出現する。GW頃に見かける者はだいたいコチャバネセセリである。

 

チョウの仲間よろしく花で吸蜜する姿をよく目にするが、コチャバネセセリは中々のグルメなようで、花以外にも様々な物に集まる
地面で吸水するのもよく見かけるし、それ以上に好きなのが動物の糞である。複数匹集まることもザラで、特に山地で動物の糞が落ちていようものなら、高確率で集まっている姿を目撃する。

吸水するコチャバネセセリ

糞にも普通に集まる。お、おいしいのかい?君たち・・・

動物の糞に集まるのなんてハエくらいじゃないの!?チョウなのにそんな動物の糞に集まるなんて・・・と思った方も多いかもしれないが、実は動物の糞には、結構色んなチョウが集まったりする。特にタテハチョウの仲間は動物の糞好きが多く、集まっているのを目撃するのは普通も普通である
なぜこんなに動物の糞に集まるのかと言えば、実は糞を摂取することで繁殖力を高めることができるようであるが、詳しく書くと長くなりそうなので、気になった方は調べてみると面白い事を知ることができるだろう。

 

ちょっとおしゃれでフライング気味に出現して色んな物を食するコチャバネセセリ。
せっかちそうに飛んではどこかに止まってまた飛んでを繰り返している。そんなコチャバネセセリを追ってみると色々なシチュエーションに遭遇することだろう。
是非ともコチャバネセセリを探してみよう。

 

【コチャバネセセリ】

チョウ目セセリチョウセセリチョウ亜科

成虫は5月頃と7月~8月頃にかけて出現

前翅長14mm~19mm

北海道から九州にかけて分布

雑木林の林縁等に多く生息

食草はタケ科のササ類等

羽の脈がはっきり現れるセセリチョウ。花の他に吸水や獣糞にもよく集まる。

 

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