昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

ニイニイゼミ・・・小柄で保護色を発揮するフライング気味のセミ

独特な模様のニイニイゼミ。夏休み前に普通に現れる

子どもたちが夏休みを迎える頃、夏を代表するセミたちも本格的に活動を開始する。
そんなセミの中でも、子どもたちの夏休みよりも一足早く本格的に活動を開始してしまうのが、今回紹介するニイニイゼミである。

 

前述の通り、日本を代表するアブラゼミやらミンミンゼミやらは7月中旬頃からの発生が多いが、ニイニイゼミは6月の終わり頃から本格的に現れ始める。そのため7月の始め頃に鳴いているセミがいたら、大体ニイニイゼミである

 

さて、私はさっそく物申したい。それは、ニイニイゼミの名前の由来だ。
ミンミン鳴くからミンミンゼミツクツクボウシと鳴くからツクツクボウシ。ではニイニイゼミニイニイ鳴くからニイニイゼミ、、、否、どう聞いてもニイニイとは聞こえない!!!
図鑑等の記載で多いのは「チー」であるが、個人的にはジーという感じに聞こえる。だったらチーゼミかジーゼミにしなきゃおかしいじゃないか! 一体全体ニイニイってなんなんだ!ちむどんどんのニーニーか!?!?
、、、取り乱しましたが、まあなんかアブラゼミよりマイルドな鳴き声だからニイニイとなったのだろう。きっとそうだ。うんうん。

 

そんなニイニイゼミ全身が木肌っぽい色味をしており、かなりホゴショキーである(そんな単語はない)
鳴き声はすれど中々姿を見つけられないこともよくあり、私はよく木を見上げながら見つけられずに、不審者っぽくなってしまう。アブラゼミやミンミンゼミと比べても小さな体つきをしているので、余計に見つけにくいのもあるかもしれない。
ちなみに世界的に見ると羽が透明でないセミは少数派らしく、それを基準にして見ると珍しいセミだと言えよう。
まあ実際は、都市部でもまとまった雑木林があれば生息している可能性が高いほど身近な存在である。


しかも最近は、住宅街でも結構目撃する頻度が増えたような気がしている。その肌感を裏付けるというわけではないが、近年都市部で復活傾向にあるようである。気候の変化や環境への適応等様々な要因が考えられるようだが、個人的には湿度が関係しているのではないかと思っている。
というのもニイニイゼミは、乾燥した土壌を好まずある程度湿気がある土壌を好んで幼虫が成長していくからだ。その証拠に、ニイニイゼミの抜け殻は泥だらけであるので、他のセミの抜け殻との見分けは容易だ。
要するに成虫も幼虫も簡単に見分けが付くので、日夜同定に苦慮している我々にとても優しいセミだと言えよう。

泥だらけの抜け殻。湿っている地面にいるため泥だらけになる

他のセミに先駆けて登場するニイニイゼミ。見た目もかなりの個性派なので、誰でもすぐにニイニイゼミだとわかるだろう。
見つける側としては、保護色なのが辛いところではあるが、見つけた時の嬉しさもひとしお。
鳴き声が聞こえたら是非とも探してみよう。

 

ニイニイゼミ

半翅目セミセミ亜科

成虫は6月~9月頃にかけて出現

体長20mm~24mm

全国に分布

雑木林や果樹園等に多く生息

様々な木の汁を吸う

独特なまだら模様のセミ。抜け殻が泥だらけなのも大きな特徴