昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

クジャクチョウ・・・真っ赤な配色と独特な模様で異彩を放つ蝶

これが本当に日本の蝶なのだろうか?

爽やかな風が吹き抜ける夏の高原。そこには貴重な植物が生えたり、分布の限られた昆虫が生息していたりと、我々のテンションが上がるような光景が広がっている。
そんな中、君は本当に日本の蝶かい?と疑いたくなるのが今回紹介するクジャクチョウである。

 

何がそんなにすごいかと言われればやはりそのド派手な表の模様だろう。そもそも日本にこんな原色っぽい真っ赤な蝶がいるのかという話である。
もちろん日本に似ている種類など存在しないので、見かけたら一発でクジャクチョウだと判断できる。
ちなみにヨーロッパではポピュラーな蝶で、様々な環境に幅広く生息している。

 

寒い地域に多く生息する蝶で、日本では標高の高い所を主な生息地としている。そのため平野部に住んでいる方にはほとんど馴染みのない蝶である。
そして寒い地域が主戦場ということは、近畿地方以上西には生息していない滋賀県にはちょびっとだけ生息地があるらしい)無論埼玉南部のベッドタウンに住んでいる私には遠い存在だ。
しかし、生息地では珍しい存在というわけではないので、赴けば基本はお目にかかる事ができるチョウではある。
場所によっては庭先に植えてある花を訪れるなんてこともあり、私からしてみたらなんともうらやましい限りである。
ちなみに北海道や東北の寒い地域では平野部でも見ることができる

生息地では庭の花に来ることも。なんともうらやましい

生態は一般的なタテハチョウらしく、成虫で越冬をして春に目覚めた後産卵をするという生活史を送る。その後2回ほど発生をして秋までの長い期間見られることも、タテハチョウっぽい感じだ。
そして、鮮やかな表に対して裏がすこぶる地味なのも完全にタテハチョウライクである。
クジャクチョウの裏はなんだか黒塗りの地味な感じとなっており、表のド派手な感じと比べると、本当に同じ蝶なのか疑いたくなるほどだ。故にクジャクチョウの写真を撮ろうとするときは、「羽広げろ羽広げろ!」と念を送るのは言うまでもない(ちなみにクジャクチョウは割と羽を広げてくれる系ではあるので、頑張って観察すれば派手な表を見ることは難しくない)

裏面はなんだか黒塗りで地味な感じ。いや、逆に派手まである!?

タテハチョウの仲間は樹液を好んで訪れる者が多いが、クジャクチョウは樹液よりは花が好きで、他のタテハチョウと比べてやや優雅寄りの蝶である。クジャクチョウに出会うには日当たりの良い花のよく咲いた林縁やら高原が狙い目で、時折多くの個体を同時に見ることもできる。
しかし、避暑に訪れてこんなにも美しい蝶が見られるなんて、とにかく最高としか言いようがない。

 

そんな感じでクジャクチョウは、やはりそのド派手な見た目で、出会うとテンションが上がる蝶である。
高原に行けば個体数も多く、お目にかかることは難しくない。
避暑に訪れた際は是非ともクジャクチョウを探して、その羽の美しさに触れてみよう。

 

クジャクチョウ】

チョウ目タテハチョウ科タテハチョウ亜科

成虫は6月~10月頃にかけて出現。成虫で越冬する

前翅長26mm~32mm

北海道から本州にかけて分布。近畿以西には生息していない

日当たりの良い林縁や草原等に多く生息

食草はイラクサ科のホソバイラクサやクワ科のカラハナソウ

赤い羽が良く目立つチョウ。本州では基本的に高標高地に生息する。