昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

ルリタテハ・・・落ち着いた羽に似合わぬ血気盛んなチョウ

羽を広げて止まるルリタテハ。なかなかお洒落な装い

草原に生息する身近なタテハチョウと言えばヒメアカタテハがお馴染みだが、一方雑木林に生息する身近なタテハチョウといえば、ルリタテハが代表選手だ。

都市近郊でも、ちょっとした林があれば生息していることが多く、私が住んでいる埼玉のベッドタウン周辺でもよく見かける蝶の1種と言える。

 

成虫で越冬するため早春から活動をはじめ、年に数回発生して様々な季節で見られるため、見られるチャンスも必然的に高くなる。
この辺りも身近な蝶と言える所以ではないだろうか。

 

花にはあまり興味がないようで、主に樹液や果樹、獣糞等を吸うという、よくあるタテハチョウライクな食生活を送る。

 

そんなルリタテハの最も大きな特徴は、なんといっても表羽の模様だ。
タテハチョウの仲間は、オレンジや茶色系の種類が多いのに対して、ルリタテハは名前の通り黒地に水色の模様が入っているという、なんともお上品な装いをしている。
日本で同じような表羽を持つ種類はいないため、見分けるのは容易だ。

一方羽の裏は、他のタテハチョウと同じように、焦げ茶色のかなり地味な感じになっており、木の幹に止まるとかなりの保護色を発揮する。この辺はまさにTHEタテハチョウといった装いだ。

裏面。こげ茶色のなんとも地味な色合いだ

樹に止まるととんでもない保護色を発揮する

そんなシックな装いをしているルリタテハだが、オスは縄張り意識が非常に高く、そんな見た目からは想像も付かないほど、血気盛んな一面がある。
オス同士で追いかけっこをしていることはしょっちゅうあるし、他の種類の蝶にちょっかいを出して迷惑がられる事も日常茶飯事だ。

 

また、ルリタテハ飛翔力が非常に高く、とても俊敏に一直線に飛ぶ。その力強い羽ばたきは、近くを飛んでいるとバサッと羽音が聞こえてくるほどである。
多少近くに人間がいてもお構い無し。縄張り近辺であれば何度も往復を繰り返し、地面等に止まっては他のオスを監視をする。そしてまた飛び立っては縄張り周辺をパトロールして、他の蝶と追いかけっこをしてはまた止まるを繰り返す。これが今どきルリタテハ男子のルーティーンである(昔からです)
ちなみにタテハチョウの仲間は全体的に縄張り意識が強い者が多く、草原のタテハチョウ代表のヒメアカタテハもよく追いかけっこをしているし、国蝶としてお馴染みのオオムラサキは、縄張りに入ってきた鳥を追い回すこともあるそうなので、全体的に争い上等な方々と言えよう。
とまあそんなこんなで、縄張りパトロールをしているルリタテハは非常に目立つため、我々の目に留まることも多いだろう。

偵察隊は拓けた地面や岩等に止まることが多い

身近な存在で中々血気盛んなルリタテハ。それでいて全体的にシックな羽というギャップもある。
そんなギャップ萌えルリタテハは春の早い段階から活動をはじめる。
ルリタテハの活動で春を感じるのも中々乙なものである。

 

ルリタテハ

チョウ目タテハチョウ科タテハチョウ亜科

成虫は年2~3回出現。第1化は6月頃から出現。秋に出現する個体は成虫で越冬する。

前翅長25mm~44mm

北海道から沖縄にかけて分布

雑木林の周辺等に多く生息。市街地に現れることもある

食草はユリ科のサルトリイバラやユリ科ホトトギス

青のラインが印象的なタテハチョウ。オスは縄張り意識が強い。

 

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