昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

マメコガネ・・・海外でもブイブイいわせるジャパニーズ・ビートル

茶色い羽のマメコガネ。飛んでいるところはミツバチっぽい

参考までにコガネムシ。すごいメタリック

コガネムシといったらメタリックなカラーリングでおなじみの甲虫だ。その輝かしいルックスから、金持ちという印象すら持たれているほどだ(若い世代には伝わらなそう)
しかし、一口にコガネムシといっても実はかなりの種類が存在し思い思いの形態や生態をしている(ちなみに、広義にはカブトムシもコガネムシの仲間である)
そんなコガネムシの中で今回は、世界で暴れまわる暴君をご紹介しよう。その名もマメコガネである。

 

しかし、世界で暴れまわる暴君なのにマメコガネとは、なんとも拍子抜けな名前である。
大きさは1cm前後と、普通のコガネムシと比べるとかなり小さく。飛んでいる姿はまるでミツバチのようなかわいらしい感じだ。
茶色い羽がトレードマークで、コガネムシと比べて色彩は地味な印象を受ける。

おいおい、暴君要素が全然ないじゃないかと思ったそこのあなた。マメコガネが本領を発揮するのはこれからである。


マメコガネがなぜ猛威を振るっているのかと言えば、その食性に原因がある。
マメコガネマメ科の植物や、ブドウ、クヌギ等様々な植物を食する。要するにマメコガネは、重大な農業害虫ということなのだ。
また、幼虫は土の中に潜って植物の根を食べるため、農作物を枯らしてしまうこともある。すなわちマメコガネは、大人から子どもまで完全無欠の害虫ということになるわけだ。

実はコガネムシの仲間には、マメコガネ同様成虫が植物の葉を食べ、幼虫は地中で根を食べる種類が多い。ということは、その分害虫とされる種類も多いということだ。

 

農作物にとっては看過できない天敵であるということはわかった。では一体、世界で暴れまわる暴君とはどういうことなのか。勘の良い方はすでに気付いているかもしれない。
マメコガネは日本在来種の昆虫なのだが、20世紀初頭、貿易の荷物に紛れてアメリカに進出爆発的に分布を広げ、アメリカ中の果樹に大打撃を与えてしまったのだ
アメリカではジャパニーズ・ビートルと名付けられ、恐れられる存在となった。

 

しかしマメコガネを完全に防除するのは難しいと言わざるを得ない。
このマメコガネ。様々な植物を食するからかかなり数が多い。ちょっと草が茂ってるところに行くと普通にたくさんいるため、仮に畑を中心に駆除を行ったとしても、その辺の草地で暮らしていけるたくましさがある
そして、マメコガネの食指はヨーロッパにも及ぶようになり・・・

生息地ではあちこちでアチチアチチ

そんなこんなでマメコガネは害虫なので、ネガティブ要素満載の記事になってしまっているわけだが、少しくらいマメコガネのポジティブなところを書かないと怒られてしまいそうだ。
マメコガネのいいところはひとえにあれだ、まあなんというか、要するにその、なんかかわいらしい。そう、なんかかわいいだろう!ちっちゃなコガネムシでなんかかわいいのだ!そうだそうだ!

 

まあなんか無理やりまとめてしまったが、生態によって害虫だと決められてしまうのも、なんともやるせないような気がしなくもない。マメコガネはこの生き方で長い年月を過ごしてきたのであり、それは別に悪というわけではないのである。 
心を広く持ってマメコガネを見ると、なんともかわいらしい存在だ。
マメコガネを探して、色々思いを馳せてみてはいかがだろうか。

 

マメコガネ

甲虫目コガネムシスジコガネ亜科

成虫は5月~9月頃にかけて出現

体長9mm~13mm

北海道から九州にかけて分布

農耕地や日当たりの良い草原等に多く生息

幼虫は土中で植物の根を食べる

小型のコガネムシ。国内のみならず欧米でも害虫として猛威を振るっている。