昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

クロウリハムシ・・・目立たずとも身近なところに生息する存在

黒い羽とオレンジの顔とお腹が特徴的なクロウリハムシ

甲虫の仲間は実に種類が多く、大小様々は者が存在する。そんな甲虫の中に、ハムシという者が存在する。中々昆虫に興味がない方からしたら、聞き慣れない存在かもしれないが、実は身近な所に生息している者も多い。今回はそんな身近なハムシの仲間、クロウリハムシを紹介していこうと思う。

そもそもハムシとはどんな昆虫なのかというと、漢字で表すと葉虫」すなわち葉を食べるからその名が付いた昆虫だ。基本的に小型な昆虫で、クロウリハムシは10mmにも満たない大きさだ。一般的な知名度のなさは、この辺りの目立たなさが一因かもしれない。
そして、ハムシの仲間にはイタドリハムシクルミハムシ等、食べる葉の種類がそのまま和名になっている者が多いのも特徴だ。

こちらはイタドリハムシ

こちらはクルミハムシ。みんな小さいな存在

さて、ここでピンと来た方も多いだろう。そう、クロウリハムシはウリ科の植物を食べるというわけだ。そして、クロ」ウリハムシということは、黒くないウリハムシも存在するということだ。
実際ウリハムシは、クロウリハムシの黒い部分をオレンジにしたような感じだ。
ウリハムシクロウリハムシも、身近に見られるハムシではあるが、個人的な体感でいくと、クロウリハムシの方がより身近な存在だと感じる。畑や林縁はもちろん、時には住宅街の一角でも見られることがあるので、みなさん気付かないだけで、知らず知らずのうちにクロウリハムシを目撃しているはずだ。

こちらはウリハムシクロウリハムシの羽がオレンジになった感じ

そして、さらに勘のいい方は気付いたかと思うが、クロウリハムシは文字通りウリ類を食べるほか、ダイズなんかも食べるため、要するに害虫という立ち位置になってしまう(もちろんウリハムシも同じような食性なので、害虫ということになってしまう)
加えて幼虫はウリ類の根を食べるという生態をしているため、どちらにしても害虫という立ち位置からは逃れようがない。
クロウリハムシが葉を食べた後は、独特な丸い食痕ができてしまうので、農家さんからしたら中々厄介な存在である。この辺は葉を食す昆虫の運命というか、やむを得ない部分といえよう(食する葉の種類で害虫かどうかが決まってしまうのは、なんとも言えないような気もするが)

クロウリハムシの食痕。葉っぱが丸っぽい痕になってしまう

まあそんな害虫のレッテルを張られてしまっているクロウリハムシであるが、よくよく見ればかわいらしい顔をしているではないか。
小さな昆虫でもよく観察してみると、様々な発見があったりもする。クロウリハムシを見つけたときは、1度レッテルをはがして、新たな魅力を見つけてみてはいかがだろうか。

 

クロウリハムシ

甲虫目ハムシ科ヒゲナガハムシ亜科

成虫は4月~9月頃にかけて出現

体長6mm~7mm

本州から沖縄にかけて分布

畑や林縁等に多く生息

幼虫はウリ類等の根を食べる

黒い羽が特徴的なハムシ。住宅街でも時折見られる身近な存在。