昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

ヨツボシトンボ・・・ミシュランには選ばれていない四つ星

水辺で中々の存在感を放つヨツボシトンボ

ひと昔前に、 ミシュランガイド選定するレストランが等が話題になった。ミシュランに選ばれた店は、世界的にも認められた店として、最高の称号を手にしたといえよう。
そして今回は、四つ星の名を冠するヨツボシトンボを紹介していこうと思う。

とはいっても、ヨツボシトンボはミシュランに選ばれたからヨツボシになったわけではない(当たり前だ)
羽の模様に着目するとわかるが、黒い点が4ヵ所に配してあるこの模様が和名の由来となっているというわけだ。
国内に似たようなトンボは存在しないので、見分けるのは容易だ。

正面から見ると羽に黒点が4ヶ所あることがよくわかる

トンボの仲間は雌雄で体色が大きく異なる者も多いが、ヨツボシトンボは雌雄とも同じような褐色で、サイドに黄色い模様をあしらっている。色が色だけに、一般的には中々目立たないトンボかもしれないが、結構がっしりとした体型なので、いざ水辺を飛んでいるところを見ると、中々な存在感を放っている。

メスも同じような体色をしている。体型はメスの方が太い

私が住んでいる埼玉県では、中々身近なトンボというわけではない。特に南部のベッドタウンでは、お目にかかることは中々ない。
それもそのはず、埼玉県では絶滅危惧Ⅱ類に分類されており、生息地は限られている。
埼玉県以外でもレッドデータに掲載している地域があり、特に関東では群馬県以外の6都県で掲載されている
それでもより自然度の高い地域に行くと、それほど珍しいトンボということもない。田んぼや湿地の周辺を歩けば、出会うのはそれほど難しくはないだろう。
また、暖かい地域にはそれほど生息していないようである。

国内ではベッコウトンボと近縁種とされるが、ベッコウトンボは絶滅危惧ⅠA類に指定されており、生息地もかなり限定されている(ちなみに私もまだ見たことがない)
ヨツボシトンボの方が幅広く生息しているので、まずはヨツボシトンボで肩慣らしをしてからベッコウトンボを探してみるといいだろう。

基本的な生態は他のトンボと大差ない。オスは水辺で縄張りを張り、メスは水辺の周囲に潜んでいることが多い。主に小さな昆虫を狩って食べるのも、他のトンボと同様だ。
交尾時間が数秒から数十秒とかなり短く、しかも飛びながら行うので、ムードもへったくれもあったものではない。

そんなヨツボシトンボだが、よく見ると中々おしゃれな造形をしており、目立たない色ながらなんとも芸術性を感じる。水辺を行き来する姿はなんともかっこいいものである。

 

【ヨツボシトンボ】

トンボ目トンボ科

成虫は4月~9月頃にかけて出現

体長42mm~49mm

北海道から九州にかけて分布

植物の繁茂した湿地や池沼等に多く生息

昆虫を捕食

羽の黒い点が特徴的なトンボ。雌雄でほとんど同じ色をしている。