人間というのは、気絶をする時に泡をふくものである。
あまりにもまんま過ぎる名前の昆虫だが、 今回はそんなアワフキムシの仲間である、 マルアワフキをご紹介しようと思う。
そして問題の泡をふくという行為だが、 これはアワフキムシの幼虫が行う。 この泡がかなりしっかりとした泡であり、 実際の人間は漫画のように泡をふかないが、アワフキムシは、 もういかにも泡!といった感じで泡をふく。 そのふきっぷりときたら、植物周りが白くなるほどで、 一目でそれと判断できるほどである。
アワフキムシの幼虫はこのような泡で体を覆うことによって、 外敵等から身を守っていると考えられており、 いわば巣の役割を果たしているという事になる。
ちなみにこの泡の正体は、 人間のように口からふいたものではなく、 排泄物に空気を送って作られたものであるので、 要するにアワフキムシは、 排泄物で作られた巣で生活をしているということになる。 そう考えるとなんとも言えない気持ちだ。
そんなアワフキムシの仲間のマルアワフキは、 文字通り丸っこいフォルムをしているのが特徴で、 他のアワフキムシと比べても、なんだかかなり立派な印象を持つ。 いる所にはかなりの数がいたりするので、 余計に存在感を感じるアワフキムシと言えよう。
足が短くちょこんとしているのでなんとも言えないかわいらしさが ある。複眼にラインが入っており、 なんだか眠そうな感じに見えるのもポイントが高い。
動きも鈍く、茎やら葉やらに止まっていることが多いので、 観察もしやすい。ただ、人の気配を感じると、 茎や葉の裏に隠れてしまう事があるので、 あまり雑に近づきすぎるのは禁物だ。
また、斑紋には個体差が結構あるので、 そうした違いをよく観察してみるのも面白いだろう。
意外と身近な所にいて存在感のあるマルアワフキ。 茎に泡がついていたら、近くにいる証拠なので、 泡を目印に探してみるといいだろう。
皆さんもマルアワフキの独特な世界観に触れてみてはいかがだろう か。
【マルアワフキ】
半翅目アワフキムシ科
成虫は5月~10月頃にかけて出現
体長8mm前後
北海道から九州にかけて分布
イネ科植物の多い草地等に多く生息
植物の汁を吸う
丸いフォルムが特徴的なアワフキムシ。生息地では群れていることもある。