昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

ギンヤンマ・・・このかっこよさに憧れた少年時代

やっぱギンヤンマかっけえな

水辺を主戦場にする昆虫といえば、その花形はトンボだろう。特に水性植物が生える湿地は、まさにトンボの楽園。様々なトンボが飛び交う賑やかな様相を呈する。
そんなトンボの楽園で、一際存在感を放っているのが、今回紹介するギンヤンマである。

 

子どもの頃はそれはそれは憧れたものである。大柄な体つきに美しいカラーリング。しかも、近所で見かけることがほとんどなかったので、その憧れ具合も相当強かった。実際このトンボに特別な感情を抱く方も少なくないだろう。今も昔も昆虫界の人気者だ。

ところがどっこい、ギンヤンマは探せば普通によく見かけるトンボの一種と言って差し支えない。
実際近所の河川敷やら公園やらでも普通に見かけるどころか、住宅街でもどこからともなく飛んで来る事すらある。なぜ子どもの頃あれほど見つけられなかったのかが不思議でならない。
まあ身近な所に存在してもギンヤンマはギンヤンマ。やはりかっこいいものはかっこいいのである。

 

さて、ここで子どもの頃から常に思ってきた疑問をぶつけていきたい。それは、なぜ黄緑なのにギンヤンマなのか
なんでも水色の部分の裏側が白色をしており、そこからギンヤンマと名付けられたようであるが、そんなピンポイントの色を和名に採用したの!?という感じである。普通に考えたら和名はキミドリヤンマだろう
まあギンヤンマという和名はなんだかかっこいいので、それはそれでありという事にしておこう。

ちなみにメスは水色の部分が黄緑になっており、腹部の色もより明るい茶色になっている個体が多い

メスは水色の部分が黄緑になっている

ギンヤンマの基本行動パターンは、水辺をパトロールするように往復して飛び回る事である。
これはギンヤンマに限らず様々なトンボに言えることだが、オスの縄張り意識はかなり強く、同じ種類のオス同士はもちろん、他のトンボともかなりバチバチにやり合っている姿をよく目撃する
そして、飛翔力が高いが故に、止まることがほとんどなく、中々その瞬間を写真に収めることが難しい。カメラマン的には中々苦労させられるトンボだと言えよう。

水辺を飛んでパトロール。他のトンボともバチバチにやり合う

産卵の際は雌雄が連結したまま、水性植物に止まって行う事が多い(メスが単独で行うこともある)
この連結は、他のオスにメスを横取りされないようにするためのものである。というのもギンヤンマは、自身の子孫を残すためにかなり強欲で、他の交尾中のペアにもアタックして邪魔するほどなのだ。故にメスが単独でいようものなら、他のオスに取られてしまうことは定期。なので連結して、他のオスを牽制でもしないとやっていけないというわけだ。

縄張り争いから産卵中まで、熾烈な争いを繰り広げて子孫を残していると思うと、なんとも感動的な話である(ただ単に性欲が強いだけだと言えなくもない)

産卵は連結して行うことが多い。ヤンマ系では珍しい

そんなこんなでギンヤンマは、常に昆虫好きの憧れの的であり、そのかっこよさにはいつもの惚れ惚れするものなのだ。
その雄姿を目に焼き付けて、昆虫ライフを彩っていこう。

 

【ギンヤンマ】

トンボ目ヤンマ科

成虫は4月~11月頃にかけて出現

体長71mm~81mm

北海道から沖縄にかけて分布

池沼や湿地、水路等に多く生息

昆虫を捕食

ヤンマ科の代表選手。黄緑の体色が大きな特徴。