昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

イナゴ・・・実は2種類存在するのをご存じだろうか

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なぜだか知らないが、割と撮りやすいところにいてくれることが多い

私が生まれ育った街は、いわゆる閑静な住宅街のようなところだったが、町外れでは稲作がそこそこ盛んに行われていた

田んぼがあるということは、当然いるのはイナゴで、要するにイナゴは私にとっても子どもの頃から馴染み深い虫だ。
まあもっとも米農家さんにとってはイナゴは害虫オブ害虫なので、むしろ憎たらしい存在であるが。
 
そんなイナゴも実は田んぼより、日当たりのいい河川敷の草地とかの方が数が多いと個人的には感じてい。(というよりイナゴに限らず、田んぼのど真ん中にはあまり虫がいない印象がある)
これは、おそらくは農薬を散布するためではないかと想像している。
昆虫好きな私としては物悲しいような気持ちもするが、それによって我々は安定して美味しいお米を食べることができていので、とやかく言うことはできない。
 
とはいえ私はイナゴが好きだ。なんともシュッとして凛々しい顔つきをしていると思わないか。しかもイナゴはなぜか、写真を撮るのにちょうどいいところにひょっこりいたりする。そんなにモデル魂を持っているなら、こちらもカメラマン魂でレンズを向けるしかないだろう
 
ところで我々がよく知っているいわゆるイナゴは、実は2種類存在するというのはご存知だろうか。
姿形がそっくりなのだが、実はコバネイナゴハネナガイナゴという、れっきとした別種が存在しているのだ。
知識がない人が見分けることはほぼ不可能だが、見分け方はそんなに難しくない
要するに名前の通り、羽が短いのがコバネイナゴで、羽が長いのがハネナガイナゴだ。

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両種の比較。おしりの先端に線を引いてみると違いがよくわかる
コバネイナゴの羽は、胴体よりも短いのだが、ハネナガイナゴは胴体よりも長くなっているので、その辺を見れば見分けるのはさほど難しくない。(たまに微妙な長さのやつもいるが)
 
後はハネナガイナゴの方が胴体が細いような気がする。きっと羽を長くしたがために栄養を羽に取られているのだろう(適当)
 
さて、イナゴと言えば忘れてはならないのがイナゴの佃煮である。おそらく蜂の子と並んで、日本で最も有名な昆虫食ではないだろうか。
私も何度かイナゴの佃煮を食したことがあるのだが、気になるお味はというと、これがなかなかおいしい。例えるなら、小エビを佃煮にしたような感じなのだ。
これは後から知ったのだが、どうも昆虫と甲殻類は成分が似通っているらしく、甲殻類アレルギーのある人が昆虫を食べると、アレルギー症状が出るらしい
どうりでイナゴの佃煮を食べたらエビに似ていると感じるわけである。
もちろんイナゴの形そっくりそのままの料理なので、昆虫が苦手な人からしたら悪夢のような食べ物かもしれないが、味は間違いないので、機会があればぜひとも食べてみてほしい。
 
そんな撮っても良し、食べても良しのイナゴは、いつでも我々の身近なところにある昆虫なのだ。
 
バッタ目イナゴ科
8月~11月頃にかけて出現
体長28mmから40mm(メスの方が比較的大きい)
本州以南に分布
水田や草地等に生息
イネ科の植物の葉を食べる
ハネナガイナゴとよく似るが、羽の長さで見分けられる