昆虫散歩道

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トノサマバッタ・・・バッタと言ったらこいつで決まり

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トノサマバッタ緑バージョン。おなじみの姿だ

日本でバッタと言えばこれ。正にキングオブバッタ。名前もトノサマバッタと貫禄の和名をちょうだいしている。

 

どこにでもいる普通種で、知名度的にもかなり高い存在ではあるが、ちょっとした草地には少なく、割と規模の大きい草原に行かないといない印象だ。
私の近所では河川敷の土手が主な生息地であるが、数はそこまで多くなく、オンブバッタイナゴの方が賑やかに飛び回っている印象がある。

 

飛翔力も高く、同じバッタ科のオンブバッタと比べたら、雲泥の差がある。
その高い飛翔力は蝗害(こうがい)という被害をもたらすこともある。
これは、大量発生したバッタが移動を繰り返し、その先で農作物等の植物を根こそぎ食い荒らしてしまうという、農家さんからしてみればまるで死刑宣告というようなヤバい現象のことである。
サバクトビバッタが有名で、最近でも海外で猛威を奮っているニュースが届いたほどだ。
もっとも日本は森林が多く広大な草原が少ないので、トノサマバッタがそのような甚大な被害をもたらした事例はあまり発生しておらず、今のところトノサマバッタがそこまで全国的に猛威を奮うことはなさそうではある。

そのような群れて蝗害を起こすような個体を、群生相(ぐんせいそう)(そうでない個体は孤独相というが、群生相のトノサマバッタ緑色ではなく、褐色をしている


ここからがややこしいポイントなのだが、褐色の個体がすべて群生相かと言われるとそんなことなくて、ただ単に褐色なだけという個体もいる
子どもの頃、群生相が褐色と聞いて、近所にいる褐色の個体に恐れおののいていたということがあるが、なんでもない取り越し苦労だったようである。

褐色の個体。群生相はもっと黒っぽくなる

ところでトノサマバッタは有名な種類であり、多くの人に知られている存在ではあるが、実はよく似ている種類が存在する。それがクルマバッタだ。
実はみんながトノサマバッタだと思っているヤツが、クルマバッタだったということは、あるあるな話である。
見分け方としてはクルマバッタの方が胸部が盛り上がっている点クルマバッタは顔から胸にかけて黒っぽい模様が目立つ点で見分けがつく。
また、大きさもトノサマバッタの方が大きく、前述の通り飛翔力も高い
羽も、黒い帯状の模様があるクルマバッタと、模様がないトノサマバッタとで違いがあるので、慣れてくると飛んでいるところを見て見分けられるようになる

ちなみにクルマバッタにはよく似たクルマバッタモドキという種類がいるのだが、この話はまた別の機会にしよう。

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クルマバッタ。顔周りの模様が目立つ

ちなみにこれは大抵のバッタがそうだが、メスの方が大きくオスは小さい
交尾をする時はメスがオスをおんぶするような形になるため、その方が都合がいいのだろう。

 

しかしトノサマバッタというのはかっこいいフォルムをしているものである。凛々しくシュッとしていて、飛翔力も高く、トノサマバッタの名に偽りなしといった堂々たる姿だ。
バッタといったらこれ。私も見かけたら夢中で追いかけてしまうものである。
そんな童心に簡単に戻れるトノサマバッタは、やはりキングオブバッタなのだ。

 

トノサマバッタ

バッタ目バッタ科

成虫は7月から10月にかけて出現

体長35mm~65mm(メスの方が大きい)

北海道から沖縄にかけて分布

河川敷等日当たりの良い草原に生息

様々な植物を食べる

バッタの中でも有名な種。飛翔力が高く時に大量発生して農作物に被害をもたらすこともある。

 

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