みなさんはスズメバチというとどんなイメージをお持ちだろうか?
攻撃性が高く凶暴、刺激をすると刺してきて、 刺されると死に至ることもある、まさに泣く子はもっと泣く、 史上最凶最悪の殺人バチ・・・といったところであろうか。
スズバチは非常に大人しいハチで、 スズメバチのように巣に近づいたら威嚇して襲ってくるというよう なこともない。 捕まえる等よっぽどひどく刺激をしたりしない限り刺すことのない ハチなので、もしスズバチに刺されたということになったのなら、 「それは100%あんたが悪い」と言ってあげたい。
ところがスズメバチと1文字少ないだけということで、 危険生物と誤解されてしまうことがあるようだ。
もっと悲惨なのが、 スズバチと検索するとハチ駆除業者のサイトが出てきて、 スズメバチの写真や、 スズメバチの巣の写真を貼って駆除しましょうと呼びか けているサイトすらある。(どのサイトかは明記しないが、 あれはとんでもないミスリードで要らぬ恐怖心を煽り、 自身が儲けたいだけのひどいものであると言っても過言ではない)
そうした間違った知識が生物を過剰に恐れさせ、 更に自身を危険にさらすことになるということにもなりかねないの で( 例えばスズメバチは単独で飛んでいる時に刺すことはほとんどない が、恐怖のあまり手で払ったり、 大声を出したりするとかえって刺激をしてしまうために、 余計に危険である) 生物の知識は正しく身に付け正しく怖がる必要があるのだ。
スズバチは木の枝や壁面等に巣を作る。 よく地面に止まっている姿を見かけるが、 あれは巣の材料が土であるために、 それを必死に集めているのである。
そうして集めた土を球状にして口と足をうまいこと使って巣を作っ ていく。
そして、作った巣に幼虫のエサとなるガの幼虫等を捕ってきて、そこに卵を産んで幼虫のエサにするのだ。
ミツバチやスズメバチのような社会性はなく、単独行動を行う。
壁面に巣を作るために人家に巣を作ることもしばしばあるが、 何もしなければ危険はないので、わざわざ駆除する必要はない。
実際巣を作っているところを見つけて、 長時間観察していたことがあるが、 そんな私になど脇目もくれず夢中で巣を作っていた。 スズバチとはそういうハチなのである。
もしスズバチの巣を見つけたらそっと観察してみてほしい。 必死に巣を作る愛らしい姿を見られるはずだ。
【スズバチ】
ハチ目ドロバチ科
成虫は7月から10月頃にかけて出現
体長20mm~30mm
本州から九州に分布
雑木林やその周辺でよく見られる。
成虫は花の蜜を主に食べる
社会性がなく単独生活を送るハチ。捕まえたりしない限りは刺さない。