皆さんもご存じの通り、昆虫にはチョウやトンボ、カブトムシやバッタなど様々な種類が存在する。
その中でヨコバイという昆虫が存在することをご存知だろうか。おそらく昆虫に興味がある方以外は、名前を聞いたこともないという方がほとんどだろう。
今回はそんなヨコバイの1種であるツマグロオオヨコバイを紹介していくこととする。
そもそもヨコバイとはなんぞやということで、ご存知ない方に説明すると、半翅目に分類される昆虫である。
半翅目はカメムシ目とも呼ばれ、文字通りカメムシやセミと同じ目であり、すなわちヨコバイは、広義にはカメムシやセミの仲間であると言える。
ヨコバイという名前は文字通り、よく横に移動するために付けられたものであり、実際に観察すると、葉裏に隠れるために横に移動する光景を見るとこができる。
そんな中でもツマグロオオヨコバイは、割と広く知られている部類の1種であると言える。
日本に広く分布している普通種で、黄緑色の体色から、バナナムシとも呼ばれることもある。
そんなツマグロオオヨコバイだが、私は子どもの頃とんだ勘違いをしていた。
昆虫好きだった私は、当然ツマグロオオヨコバイは図鑑で見て知っていたわけだが、そこに掲載されている写真を見て、小型のセミくらいの大きさだとばかり思っていた。
また、実際にセミに近い仲間なので、図鑑もセミに近いところに載っているものだから、余計にそう思っていた節があったのだ。
ところがどっこい、はじめて生で見たときに「こんなに小さいの、、?」と少しショックを受けてしまった(体長は13mm前後)
図鑑のイメージとギャップがあった生き物が私は結構多いのだが(例えばアゲハチョウの幼虫が意外と小さくて驚いた印象)皆さんはどうなのだろうか。
そもそもツマグロオオヨコバイと、和名に「オオ」が付いているのにこんなに小さいとはこれいかに、と思ったりもしたが、そもそもヨコバイという昆虫は、かなり小さな仲間が多く、ほとんとが数mm程度と、1cmに満たない大きさなのである。
すなわち13mmの大きさを誇るツマグロオオヨコバイは、むしろヨコバイ仲間の中では特大と言っても過言ではない。
ちなみにカメムシの仲間らしく植物の汁を吸うため、作物の害虫としても知られている。そこまで大きな影響が出ないと聞いたこともあるが、食事の際にできる傷で作物の成長が阻害されることもあるらしいので、農家さん的には看過できない部分がある昆虫と言える。
飛び方はパタパタというような感じでゆっくり飛ぶ。
飛ぶのも止まるのもあまりうまい感じがなく、よいしょという声が聞こえてきそうな感じすらある。
この辺が個人的には結構好きなポイントでもある。
小さいけど大きいツマグロオオヨコバイ。ゆっくりと行動しているので見失うことも少なく観察もしやすい。
見つけた時は是非追いかけてみて、その魅力を感じてみていただきたい。
【ツマグロオオヨコバイ】
半翅目オオヨコバイ科
成虫は4月~11月頃にかけて出現
体長13mm前後
本州から九州にかけて分布
低山地の森林等に多く生息
多くの植物の汁を吸う
大型のヨコバイ。別名バナナムシとも呼ばれる。