昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

オオゾウムシ・・・かなり立派な体と象の鼻

これが本物のゾウムシっちゅうもんよ!Byオオゾウムシ

ゾウムシと聞いて話ができる方というのは、ある程度昆虫好きだろう。興味がない方からしたら、ゾウなのかムシなのかはっきりしろと言ったところか。
しかし、オオゾウムシを見ればなぜそのような名前になったかが理解できるだろう。見事にゾウさんチックなルックスだ。

 

ゾウムシの仲間は実は身近な所に結構生息している。雑木林や草原等、ちょっと自然があり、昆虫が生息していそうな所に赴けば大抵見かけることができる。
しかし、昆虫に興味がない方にしてみたら、ゾウムシなんて見たことないわと言う方がほとんどだろう。
それもそのはず、ゾウムシの仲間は1cmにも満たないようなとても小さい種類が多いので、かなり目を凝らさないと見つけられないというわけだ。
しかもあまり飛ぶことがないので、余計に目立たない存在と言える。

ゾウムシの世界は結構ミクロ。写真のカシワクチブトゾウムシは大体5mmほど

そんな中でオオゾウムシは、他のゾウムシとは一線を画している。
体長は2cm前後と和名の通り他のゾウムシよりもかなり大きい(それでもそんなに大きくないけど)
ゾウムシが小さいと思っていた私は、オオゾウムシをはじめて見たときに、あまりにもゴツい体つきに興奮を隠すことができなかった。そして、これこそが本物のゾウムシか!と感嘆したものである。
ちなみに、かつては日本最大のゾウムシだったが、現在は外来種ヤシオオオサゾウムシ(オが3つ並んでいるが、誤植ってわけではありません)に逆転されてしまったという、悲しい過去を持つ。

 

さまざまな所に生息している普通種と記載されている図鑑が多いが、個人的には普通種と呼べるほど見かける種類ではないと感じている
この辺り、図鑑の「よく見る」や「あまり見かけない」等の記載は住んでいる地域の気候や環境等によって変わってくるものなので、あくまで参考程度に留めておくのが吉だろう(無論それはこのブログでも同じである)

 

樹液や灯火も訪れるので、夏のカブトムシ採集の際に目撃することもしばしばある。
飼育方法もカブトムシとほぼ同じでOKで、かつ年単位で長生きしてくれるので、何かと塞ぎがちな昨今において、きっとあなたの良いパートナーになってくれるだろう。

 

幼虫は木の内部に潜んで木材を食べるので、林業等木材を扱う場面では害虫とされることがあり、関係者の方からしたら要注意昆虫ということになる
成虫は前述の通り樹液に集まるが、飼育下では様々な物を食するグルメなので、実際は樹液以外にも色んな物を食べている可能性がある。

 

オオゾウムシはゴツい体の持ち主である。そのため自らの防御力に自信があるのか、捕まえたりすると死んだふりをしてやり過ごそうとする習性がある。その演技力たるや、ドラマの死体役の方も真っ青のものであり、モードに入るとまったく動かなくなってしまう。時には数十分間動かないこともあるようで、とてつもなく迫真の演技である。俳優の卵の方は、1度オオゾウムシに演技を教わることをおすすめする。
もっとも甲虫の中には、死んだふりを得意としている者は結構存在するので(テントウムシ等)オオゾウムシの専売特許というわけでもない。

捕まえると死んだふり。甲虫の仲間では割とよく見られる戦略だ

最後の最後に上げて落としてしまったわけだが、オオゾウムシはかなり独特な見た目で魅力的な存在だ。
ゴツい見た目に似合わず大人しく飼育もしやすい等、親しみやすい要素がたくさんある。
防御に全振りしたオオゾウムシを果敢に観察してみてはいかがだろうか。

 

【オオゾウムシ】

甲虫目オサゾウムシ科

成虫は5月~9月頃にかけて出現

体長12mm~24mm

北海道から九州にかけて分布

雑木林やその周辺に多く生息

幼虫は倒木等の内部で木材を食べる

長い口吻が特徴的な大型のゾウムシ。捕まえると死んだふりをする。