昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

シオカラトンボ・・・今も昔も変わらない身近な存在

昆虫に詳しくなくてもおなじみのトンボ

もはやいないところの方が珍しいレベルでどこにでもいるトンボだ。
私の家の目の前に、ほとんどちょろちょろレベルのトブ川があるのだが、そこにさえ飛んでいる。
以前何かの新聞記事で、お馴染みの赤とんぼが減少しているというような記事を読んだことがあるのだが、このトンボに関しては、そういう心配はまったくないのではないか。

 

私の経験上、いるところには祭りでもやってるのかと思うくらいにいる
とある低山地の湿地を訪れた時は、大量に飛んでいるトンボのほとんどがシオカラトンボという事があった。

また、成虫が見られる時期もまったく限定的でなく、春から秋までとかなり長い。
この辺もシオカラトンボが普通種としての立ち位置をわきまえているポイントだ。

 

シオカラトンボと言えば水色のボディがトレードマークだが、メスは薄茶色の地味な色をしており、麦わら帽子の用な色をしていることから、別名ムギワラトンボと呼ばれている(実を言うと曖昧な色の個体も結構存在しており、正確に見分けるためにはお尻の形を見る必要がある。また、未成熟のオスはメスのような体色をしている)

メス。その体色からムギワラトンボと呼ばれる

ちなみにシオカラトンボ「シオカラ」という名前はイカの塩辛とは関係がなく、オスの腹部がやや白く、粉っぽい感じになっており、それが塩辛そうなところから命名されたらしい。
これに関して私は子どもの頃、シオカラトンボの見た目がまったくイカの塩辛っぽくないために、まったく納得がいかなかったことを覚えている。

 

そんな私のシオカラトンボの思い出と言えば、小学校の時のプール掃除である。
もうかなり昔の話で、今も行われているのかはわからないが、私が子どもの頃は、6月頃に学校のプールを清掃するというイベントがあった。そして私は、それが毎年楽しみで仕方なかったのだ。
なぜかと言えば、放置されたプールは水性昆虫の格好の住みかであり、それらをじっくりと観察できたからだ。
そしてその時に捕まえたヤゴを、クラスで飼おうという話になった。
今にして思えば、ヤゴを飼うというのは中々難易度が高いように思うが、それでもきちんと羽化をしてトンボになった
残念ながら羽化の瞬間は、登校時間と被っていなかったので、見ることができなかったが、かなり貴重な経験をしたことは間違いない。

 

そんなシオカラトンボだが、さすが肉食動物だけあって意外と獰猛な一面も持っており、昔持っていた昆虫図鑑で赤とんぼを捕食している写真を見た時は、幼心に「マジかよ・・・」と思ったものである。

というかそもそも、自分の体とそんなに変わらない大きさの赤とんぼを、果たして食べきれるのだろうか。はなはだ疑問であるが、肉食動物は1回の食事で当分食べなくても済むように、なるべく大きい獲物を捕らえようとする者がいるので、もしかしたらシオカラトンボも、そういう発想をしているのかもしれない。

 

至る所をのどかに飛んでいるシオカラトンボだが、生きるために必死に獲物を追いかけていると思うと、明日からの見え方もなんだか変わりそうである。

 

シオカラトンボ

トンボ目トンボ科

成虫は4月~10月頃にかけて出現

体長47mm~57mm

ほぼ日本全土に分布

湿地や水田、池沼等に多く生息

様々な昆虫を捕食

どこにでも生息している、日本で最も身近なトンボの1種。

 

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ツバメシジミ・・・かわいいポイントを押さえまくった蝶

後羽のしっぽがチャームポイント

蝶の仲間は飛んでいることが多いので、止まらないと何の種類か判別出来ないということが多々ある。例えば小さな青いシジミチョウは至るところをちらちらと飛んでおり、基本的にヤマトシジミと考えてもらって差し支えないが、その中に別種が混ざることもしばしばある。そのうちの1種がツバメシジミだ。

 

ヤマトシジミルリシジミは、正確に判別するのに苦労するが、ツバメシジミは止まってしまえば見分けるのはお手のものである。ツバメシジミには後羽の先にオレンジの模様があり、そこからしっぽが生えているからだ
このチャーミングなしっぽは、ただでさえ小さくてひらひらしたシジミチョウのかわいさを、より一層引き立ててくれている

 

このしっぽがツバメシジミという名前の由来になっているのだが、専門用語で言うとこのしっぽは尾状突起(びじょうとっき)と呼ばれている。どうやらこれがあると天敵にこちらを頭と思わせる効果があるらしい。そうすることで仮に襲われても、羽だけが欠けて助かる確率が上がるというのだ。
シジミチョウの仲間は時折後羽をすりすりしていることがあり、それが超絶かわいいのだが、実は尾状突起を動かすことによって、頭が動いている様を演出しているという。
「かゆいのかな?」と見ていた私が馬鹿らしくなる、見事な生存戦略だったのだ。

 

そんなツバメシジミの食草は、四つ葉のクローバーでおなじみのシロツメクサというのだから、かわいいキャラ作りに余念がない
もっともシロツメクサ以外にも、マメ科の植物を広く食草にしているため、シロツメクサでなければダメという偏食家なわけではない。
食性の広さもあってか、市街地の近郊でも見られる普通種となっている。

とはいえ肌感としては、ヤマトシジミに比べるとはるかに数が少なく感じる。そのため見つけると、なんだかレアな蝶を見つけ出した錯覚に陥って、テンションが上がってしまう。(こう言うと語弊があるが、ヤマトシジミが多すぎるだけであって、実際に数が少ないというわけではない)

羽を広げたオス。きれいなスカイブルーだ

実際羽を広げたら、きれいなスカイブルーだし、裏羽も白を基調とした黒点と、ワンポイントのオレンジが可憐で、見ていてとても楽しい。(ヤマトシジミ等と同様、スカイブルーはオスだけで、メスは農紺のやや地味な色合いをしている)

メス。青い範囲が少なくオスに比べると地味だ

後、地味にポイントが高いのが、触覚が縞模様だというところだ。なんてことはないのだが、これがなんともかわいい。
細部までこのようにかわいい演出に余念がないのだから、まったく感服せざるを得ない。

縞模様の触覚。細かいところのデザインも凝っている

こんなにかわいらしい蝶が身近にいるのだから、探しに行かない手はない。
今すぐ家を飛び出して、ツバメシジミに会いに行こう。

 

【ツバメシジミ

チョウ目シジミチョウ科ヒメシジミ亜科

成虫は4月~10月頃にかけて出現

前翅長9mm~19mm

北海道から九州にかけて分布

日当たりの良い草地に生息

食草はマメ科の各種植物

飛んでいるところをヤマトシジミやルリシジミ等と見分けるのは難しい。止まっていれば尾状突起で容易に判断できる。

 

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イナゴ・・・実は2種類存在するのをご存じだろうか

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なぜだか知らないが、割と撮りやすいところにいてくれることが多い

私が生まれ育った街は、いわゆる閑静な住宅街のようなところだったが、町外れでは稲作がそこそこ盛んに行われていた

田んぼがあるということは、当然いるのはイナゴで、要するにイナゴは私にとっても子どもの頃から馴染み深い虫だ。
まあもっとも米農家さんにとってはイナゴは害虫オブ害虫なので、むしろ憎たらしい存在であるが。
 
そんなイナゴも実は田んぼより、日当たりのいい河川敷の草地とかの方が数が多いと個人的には感じてい。(というよりイナゴに限らず、田んぼのど真ん中にはあまり虫がいない印象がある)
これは、おそらくは農薬を散布するためではないかと想像している。
昆虫好きな私としては物悲しいような気持ちもするが、それによって我々は安定して美味しいお米を食べることができていので、とやかく言うことはできない。
 
とはいえ私はイナゴが好きだ。なんともシュッとして凛々しい顔つきをしていると思わないか。しかもイナゴはなぜか、写真を撮るのにちょうどいいところにひょっこりいたりする。そんなにモデル魂を持っているなら、こちらもカメラマン魂でレンズを向けるしかないだろう
 
ところで我々がよく知っているいわゆるイナゴは、実は2種類存在するというのはご存知だろうか。
姿形がそっくりなのだが、実はコバネイナゴハネナガイナゴという、れっきとした別種が存在しているのだ。
知識がない人が見分けることはほぼ不可能だが、見分け方はそんなに難しくない
要するに名前の通り、羽が短いのがコバネイナゴで、羽が長いのがハネナガイナゴだ。

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両種の比較。おしりの先端に線を引いてみると違いがよくわかる
コバネイナゴの羽は、胴体よりも短いのだが、ハネナガイナゴは胴体よりも長くなっているので、その辺を見れば見分けるのはさほど難しくない。(たまに微妙な長さのやつもいるが)
 
後はハネナガイナゴの方が胴体が細いような気がする。きっと羽を長くしたがために栄養を羽に取られているのだろう(適当)
 
さて、イナゴと言えば忘れてはならないのがイナゴの佃煮である。おそらく蜂の子と並んで、日本で最も有名な昆虫食ではないだろうか。
私も何度かイナゴの佃煮を食したことがあるのだが、気になるお味はというと、これがなかなかおいしい。例えるなら、小エビを佃煮にしたような感じなのだ。
これは後から知ったのだが、どうも昆虫と甲殻類は成分が似通っているらしく、甲殻類アレルギーのある人が昆虫を食べると、アレルギー症状が出るらしい
どうりでイナゴの佃煮を食べたらエビに似ていると感じるわけである。
もちろんイナゴの形そっくりそのままの料理なので、昆虫が苦手な人からしたら悪夢のような食べ物かもしれないが、味は間違いないので、機会があればぜひとも食べてみてほしい。
 
そんな撮っても良し、食べても良しのイナゴは、いつでも我々の身近なところにある昆虫なのだ。
 
バッタ目イナゴ科
8月~11月頃にかけて出現
体長28mmから40mm(メスの方が比較的大きい)
本州以南に分布
水田や草地等に生息
イネ科の植物の葉を食べる
ハネナガイナゴとよく似るが、羽の長さで見分けられる

ヒメウラナミジャノメ・・・ぴょんぴょんと跳ねて機嫌でもいいのかしら?

地味な色合いだが目玉模様が特徴的

昆虫探索をする時、あれが見たいこれが見たいとあれこれ目標を定めるのはあるあるだが、相手が自然なもので、意中の相手に会えずに振られてしまうことがよくある。

そんな心を慰めようとするかのように、目の前に現れるのがヒメウラナミジャノメだ。
まあ要するにどこにでもたくさんいるような普通種の蝶で、基本的に昆虫を探しに歩くと見ないということはない。何匹も同じところで飛び交うということもザラで、個人的にはモンシロチョウアゲハチョウといった、誰もが知ってる蝶より身近な存在ですらある
 
草原等比較的明るいところを好む傾向にあるが、ちょっとした雑木林くらいだったらガンガン見かける印象だ。
幼虫がイネ科カヤツリグサ科の植物を幅広く食するために、細かいことは気にしない性格なのかもしれない。
成虫は花の蜜に集まり、他のジャノメチョウの仲間が樹液や獣糞等に集まる種類が多いのとは一線を画している。この辺の食性も、明るいところを好む要因だろう。
 
ぴょんぴょんと跳ねるように飛び、かつ推進力があまりないので、慣れれば飛んでいたとしても簡単に見分けがつく。
その飛び方がなんともかわいらしく、よいしょよいしょと飛んでいるような感じだ。
多産する場所では、あちこちで草むらから飛び出しては消えを繰り返すような様相でなんとも賑やかである。
 
ジャノメチョウの仲間といえばやはり最大の特徴は名前にもあるの目模様だ。
ジャノメチョウの仲間は基本的に全体のベースが茶色なので、地味な印象を受けるが、それがかえって自慢の蛇の目模様を引き立てているような気さえすワンポイントで違いを見せつけるファッションリーダーなのだ。
タテハチョウの裏面や、ミドリシジミのメスムラサキツバメのオス等の表面の方が、実はよっぽど地味であると個人的には感じている。

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件のミドリシジミのメス。知り合いに見せたら蛾だと思われた
ヒメウラナミジャノメの裏面なんて、よくよく見たらすごい模様をしているもので、さながら絵画か何かの表現手法のようだ。
後羽の蛇の目の数は基本的に5〜6個だが、まれに欲張って8個とか付けてしまうものもいるらしく、個性豊かなものがいるのも本種の特徴だ。

名前の由来になった裏面。集合体恐怖症の人が無理そう
要するに、どこにでもいて地味だと言われる本種だが、目を凝らせばこんなにも個性的な生き物だということだこれだから昆虫観察は面白い。
 
蝶においても、やはり珍しい種類、派手な種類のような人気の種類が存在するのは事実である。しかし、こうした身近な蝶も、じっくり見ると他の種類にはない魅力があるのものなのだ。
 
 
【ヒメウラナミジャノメ】
チョウ目タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科
成虫は4月~9月頃にかけて出現
前翅長18mm~24mm
北海道から九州にかけて幅広く分布
草原や雑木林の間等、比較的明るいところに多く生息
食草はイネ科やカヤツリグサ科の各種植物
日本で最もポピュラーなジャノメチョウの一種で、飛び方も穏やかなため見つけるのは容易い。

イチモンジセセリ・・・幼き日の大論争の答えを今導き出さんとす

イチモンジセセリ。めちゃくちゃ飛ぶのが速い

幼い頃の私は昆虫採集が好きな少年だった。

その中でも特に蝶が好きで、近所にいる蝶でわからない種類など存在しないという程であった。
そんな私にはイチモンジセセリを巡った印象深い思い出がある。
 
それは私がまだ小学生だった頃。家の近所で飛び交うイチモンジセセリを捕まえて観察していたら、近所に住む友人がやってきた。
私が「蝶を捕まえた」と意気揚々と話しかけたら、友人は訝しげな顔をして
 
「いやいや、蛾じゃん」
 
と言い放ったのだ。
 
当然私は納得がいかない。なぜなら幼き日の私は昆虫図鑑をボロボロになるまで読み漁り、クラスの誰よりも昆虫に詳しく、特に蝶に関してはその辺の蝶で知らないものはないという自負があったからだ。
必死にこれはイチモンジセセリという種類でれっきとした蝶なんだと、冤罪を晴らすかのごとく熱弁したが、結局その友人は最後まで蛾であると信じて止まなかった
 
大人になった今、改めてその友人にこの場を借りて物申したい。
 
「その気持ちもわかる。」
 
だってなんか茶色いし、胴体太いし、普通の人は蝶=アゲハチョウとかモンシロチョウとかのイメージだから、なおさらそう思っても仕方がない。
 
そもそも分類上は蝶も蛾も鱗翅目という、大きな括りでは同じ仲間なのだ。なのでまあ、イチモンジセセリも広義には蛾と同じということになる。
 
イチモンジセセリと言えば個人的にお気に入りなのはその止まり方だ。
前羽を立てて止まる独特な止まり方セセリチョウの仲間に多く見られる。なんだかジェット機みたいでかっこいい。私は個人的にセセリ止まり」と呼んでいる。
というかそんな止まり方して羽は大丈夫なのだろうか。毎回心配になるが、ずいぶんと羽が柔軟なのねと感心する。

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前翅を立てて止まる、必殺「セセリ止まり」
しかしこのイチモンジセセリには似ている種類が多すぎてもはや何がなんだか私にはよくわからない。チャバネセセリやらオオチャバネセセリやらミヤマチャバネセセリやら・・・図鑑とにらめっこしても、毎回どこが違うのかと問い詰めたくなる。
野外で正確に見分けるのは難関大学に合格するくらい難しいのではないか。「んなおおげさな」と思った人はぜひとも挑戦してみてほしい。

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チャバネセセリとオオチャバネセセリ。詳しい見分け方はまた後日ゆっくり語りたい
少し真面目に生態を語ってみると、イネ科カヤツリグサ科の植物を食草としている。そのため農家さんからしてみたら害虫という扱いになる。
そういえば小学生の頃、教育実習で育てていたイネに薄緑色の芋虫が付いていたことを思い出すが、今にして思えば完全にこやつのお子様である。
 
後はこの蝶は長距離の渡りをすることでも有名である。アサギマダラウラナミシジミ等渡りをする蝶は結構いるが、その小さな体のどこにそんなパワーがあるのかと、いつも不思議に思う。
 
とにかくこの蝶も、その辺を歩けば簡単に見つかる蝶の代表格だ。探索に出かけた際は高確率でお出迎えされることになるので、そのつもりで覚悟しておいてほしい。
 
 
成虫は6月~10月頃にかけて出現
前翅長15mm~21mm
北海道から九州にかけて分布するが、北海道にはあまり生息していない
様々なところに生息し、水田や河川敷の草原はもちろん市街地でも見られる
食草はイネ科やカヤツリグサ科の各種植物
移動性の高い蝶で、定着しているのは関東以西と言われている

カブトムシ・・・ホームセンターで買う前に自分で探してみよう

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夏休みの昆虫採集といったらこれですわね

もはや今更語るまでもないみんな大好き昆虫の王様

私も例に漏れず、子どもの頃は周囲の木を駆けずり回って捕りに行ったものである。
 
私はいわゆる東京のベッドタウンのようなところの出身で、特段自然が豊かなところで育ったわけではないが、それでも一晩本気を出せば20匹は捕れた新宿御苑石神井公園等、東京23区にも普通に生息しているらしいので、都会の近郊でも全然見ることができる
カブトムシの生息地として有名なのがホームセンターであるが、わざわざお金を出して買わなくてもカブトムシなんてそこら辺にたくさんいるのにと、子どもの頃から思っていた。
 
見つけるコツはやはり木の知識を身に付けることだ。彼らはクヌギコナラ等の樹液に大きく依存して暮らしているために、そうした木を見分ける力を養うことが、見つける1番の近道である。
それがわかるようになったら、今度は樹液の出る木を見つける作業が必要になる。これに関しては半分運も必要だが、真っすぐスラっと伸びた木は樹液を出さない木が多いなるべくでこぼこした木を中心に探してみると樹液を出している可能性がある。
周囲を蝶や蜂がとんでいたり、甘酸っぱいにおいがしたらビンゴだ。
 
後は場所だ。カブトムシというと雑木林や山の中のようなところに生息していると考えがちだが、実はそうした場所はそこら中に木があり、またあまり管理されていない雑木林は下草が生い茂っているので、樹液を出す木を見つけるのに一苦労で、なかなか思うようにいかないことが多い。
逆に狙い目は、開けたところにポツンと生えているような木だ。特に河川敷に点在しているような木は狙い目で、日当たりがいいためか、多くの昆虫たちで賑わうまさに樹液酒場といった様子を見せてくれる。
 
そうした場所を昼間の内に見つけておいて、蒸し暑い風の弱い夜にでも探しに行けば、もうウハウハ確変モード突入である。

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メスは角がないことももはやお馴染み
ただ注意しなければならないのは、都市部や住宅街に近いポイントには、必ずと言っていいほどゴキブリがセットでたくさんいる
以前私が行ったポイントにはカブトムシが10匹ほどいたが、その3倍くらいゴキブリがいたということもあった。
苦手な人は発狂間違いなしなので、ある程度覚悟して行った方が良さそうだ。
 
また、昼間の樹液には高い確率でスズメバチが訪れているので、その点も注意が必要である。
もっとも樹液に訪れているスズメバチは食事に夢中なので、基本的に人間を刺すことはないが、うっかり刺激をしてしまって逆鱗に触れる可能性がなきにしもあらずなので、やはり注意するに越したことはない。
 
どころでこれは私の印象でしかないが、昔はコクワガタノコギリクワガタの方が多い印象だったが、最近はクワガタムシより圧倒的にカブトムシの方が多いような気がする
周囲の環境が何か変わったのだろうか。原因はわからないが、クワガタは材木に依存して生活しているので、そうした環境が周囲になくなっているのかもしれない。
 
こんな具合に捕り方を中心に語ってきたが、正直まだまだ語り足りない部分があるので、いつか別の着眼点からカブトムシの記事を書いていきたいものである。
 
 
【カブトムシ】
甲虫目カブトムシ科カブトムシ亜科
体長(口先から腹部の端までの長さ)30mm~55mm
本州から沖縄にかけて分布。北海道には元々いなかったが、人為的に持ち込まれたものが定着している
落葉樹林が生える雑木林等に多く生息。灯火に引き寄せられるため、生息地から外れたところに訪れることもしばしばある
幼虫は腐葉土を食べて育つ。幼虫の時の栄養状況によって、成虫になった時の大きさが決まる
言わずと知れた昆虫採集の王様で、飼育も盛んに行われている

ヤマトシジミ・・・家を出てから5秒で見つかる蝶

水色の羽が特徴的なヤマトシジミ

着替えてカメラの準備をして、さあ撮影に繰り出そうかと玄関の扉を開けると、コンクリの隙間から生えている草の周りをちらちらと飛んでいる。家を飛び出してから見つけるまでのその時間わずかに5秒

あまりに家の目の前で見つかるので、もはや家族の一員と言っても過言ではないのではないか。

 

要するにこの蝶は、出会わない方が難しいレベルの蝶である。

かくいう私も親の顔よりも見たというレベルでよく見ている蝶の1種だ。

秋に最盛期を迎えるという話だが、個人的には年がら年中見られるから、特段秋に増えるという感覚もない。

ただ、どうも北海道には生息していないらしく、やや暖かい地方が好きなようだ。

 

なんとも小さくどこにでもいる蝶なのであまり気に止めることもないが、よくよく見てみると水色の羽が爽やかで、なんともきれいな姿をしている

ただこれはオスだけで、メスは濃紺というかこげ茶というかちょっと地味な色合いをしている。

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羽半開きのメス。覗く表面の羽はなんとも地味な色だ。

さて、ここで私がいつも思っていることは、ルリシジミとの見分け方が難しいということである。

蝶に興味がない方からしたら、どちらも同じように見えることは必至だ。

生活圏も結構被っており、せめてここがきちんとわかれていればまだ見分けやすかったろうにと思う。

 

見分けるコツとしては、ヤマトシジミの方が灰色がかった色をしていて、ルリシジミの方が白くて明るい色をしているという点がある。

また、複眼が黒いのがルリシジミで、ヤマトシジミはなんとも言えない色をしている。

あとは、斑紋の形がヤマトシジミの方がはっきりしていてルリシジミは薄く小さいという見分け方もあるが、個人的には複眼で見分けるのが一番手っ取り早く確実だと推したい。

さらには似ている種類で、スギタニルリシジミなるヤツもいて、私はもう頭がクラクラしてきている。(実はもっと似ている種類で、シルビアシジミというのもいるが、ウチの方ではほぼ見かけないので割愛する。)

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ルリシジミ。複眼がはっきり黒い

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こちらはスギタニルリシジミ。ややこしや

生息場所をヒントに見分けるとするならば、雑木林の上を素早く飛んでいたら基本的にはルリシジミだ。

というのもヤマトシジミカタバミというクローバーみたいな雑草を食草にしており、その周辺を生活圏にしているため、雑木林の上の方には用がないので、わざわざ飛んでくることがない。

一方でルリシジミの幼虫はバラ科マメ科ブナ科等、色々なものを食するグルメで、木にも用事があるために雑木林の周辺でもよく飛んでいる。

 

とにかく言えるのは、ヤマトシジミもルリシジミも身近にいてかわいらしくてちょっと本気を出して羽を開いたら結構きれいだということだ。

珍しいヤツを見つけた時はもちろん嬉しいが、こうした身近な蝶に遊んでもらうことも、昆虫観察の醍醐味である。

 

 

ヤマトシジミ

チョウ目シジミチョウ科ヒメシジミ亜科

成虫は3月~11月頃にかけて出現

前翅長9mm~16mm

本州から南西諸島にかけて分布

人家周辺や草原等、カタバミがあるところならどこでも発生する

食草はカタバミ

生息地であればどこにでもいると言っても過言ではないほどポピュラーな蝶の一種

 

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