昆虫散歩道

昆虫をあれこれ撮影してあれこれ語ります

キアゲハ・・・身近でも存在感抜群の美しい羽

キアゲハの圧倒的存在感パねえ

アゲハといえば日本で知らない者はいないというレベルで、誰もが知っている蝶であろう。
住宅街でも普通に飛んでいるし、成虫が見られるのも春から秋までと実に長いので、そういった面でも、日本国民に馴染み深い蝶であると言える。

しかし、そんなアゲハチョウの仲間に、もう1種類似ている者が存在する事を知っている方は、意外と少ないのではないか。それが今回紹介するキアゲハである。
おそらく知識のない方が飛んでいるところを見たら、間違いなくアゲハチョウと思ってしまうだろう。

こちらはアゲハ。キアゲハと双璧だ

そうは言ったものの、実は見分けるのは難しくない。キアゲハは文字通りアゲハチョウに比べて鮮やかな黄色をしており、大きさも一回り大きいので、よくフィールドワークをする人からしてみたら、簡単に見分けられる。
裏面の模様もよく見ると全然違うし、私が子どもの頃に教わった見分け方が、表羽の付け根から縞模様があるかどうかという点だ。
縞模様があるのがアゲハチョウで、ないのがキアゲハという、なんともわかりやすい見分け方をしている。
私がもし、蝶の教科書を作るとしたら、2ページ目にアゲハチョウとキアゲハの見分け方を載せるだろう。それくらい両種を見分けるのは基本中の基本なのだ。

両種の見分け方はこれでバッチリ

裏面もよく見ると結構違う

そんな両種だが、実は生態は結構異なっている部分がある。まず明らかに違うのが幼虫の食草だ。
アゲハはミカン科の植物を食草とするのに対して、キアゲハはセリ科の植物を食草としている
そのためかアゲハは住宅街の公園や林縁等に多く、キアゲハは畑や拓けた草原に多い
また、キアゲハはセリ科であれば様々な植物を食するグルメであり、パセリやニンジン等の農作物も食べるので、これらを育てている方は注意が必要である。
ちなみにセリ科を主な食草としているアゲハチョウの仲間は、日本ではキアゲハが唯一であり、身近な所に生息しているが、実は結構尖っている存在である(ちなみにアゲハチョウの仲間はミカン科を食草としている者が多い)

ちなみに成虫同士はそっくりな両種だが、幼虫はまっっっっっっっったく似ていない
アゲハの幼虫はおなじみの目玉模様のある芋虫だが、キアゲハの幼虫は縞模様のなんだかすごい柄をしている

まずはおなじみアゲハの幼虫をご覧ください

一方のキアゲハの幼虫。似ても似つかん

しかしなぜこんなすごい柄になってしまったのか。アゲハチョウの仲間はアゲハ同様、緑の目玉模様付きの幼虫が多いので、余計に異彩を放っている。
ちなみにアゲハの幼虫は何か危険が迫ると臭角という角を出すのだが、キアゲハの幼虫も臭角をしっかりと出す。この辺りはちゃんとアゲハを踏襲しているので、ホッと一安心といったところである(?)

 

しかしキアゲハは身近な存在なのでスルーしがちであるが、じっくり観察してみると、かなり美しいチョウである。
サイズも大きく草原を優雅に飛び回る姿は圧倒的存在感だ。
これが珍しい存在だったらさぞかしマニア受けがすごかったのではと思う。
もっともマニアに受けようが受けまいが、キアゲハの美しさに変わりはない。

身近な存在だが他の仲間とは異彩を放ち、圧倒的な存在感で我々を楽しませてくれるキアゲハ。
こんなに美しいチョウが身近な所で見られるというのだから、探しに行かない手はない。
あなたも美しいキアゲハに会いに行ってみよう。

 

【キアゲハ】

チョウ目アゲハチョウ科アゲハチョウ亜科

成虫は3月~11月頃にかけて出現

前翅長36mm~70mm

北海道から九州にかけて分布

草原や耕作地等拓けたところに多く生息

食草はセリ科の各種

アゲハと双璧を成す存在。鮮やかな黄色が美しい。

 

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