チョウとガの違いというのは、様々語られてきている。例えば昼間活動するのがチョウで夜活動するのがガであったり、触覚の先端が丸いのがチョウで丸くなかったりくし状になっていのがガだったりと、様々な説がある(しかし、そのどれもが例外を含んでおり、明確にチョウとガを区別する基準はなかったりする)
そんな中で、羽を閉じて止まるのがチョウで開いて止まるのがガという説があるのだが、これもやはり例外が存在するわけである。今回はそんな例外に抵触するイカリモンガというガを紹介していこうと思う。
まあ画像をご覧いただけばわかるが、完全に羽を閉じて止まる。ちょっと半開きとかもせずに、本当に閉じて止まることしかしない。実際羽を閉じて止まるガは中々珍しいので、イカリモンガはかなりチョウに寄せたガだと言えよう(まあ実際チョウは羽を開いて止まることも多いので、閉じて止まることがマストというわけでもないが)
また、活動するのも昼間なので、ここでも夜活動するガの定説から外れる生態をしている。中々ひねくれ者と捉えられてもおかしくないガというわけだ。
和名の由来はオレンジの羽の模様がいかりのように見えることから来ている。
時折このオレンジ模様を隠すように止まることがあるのだが、そうするとかなり枯れ葉のような見た目をしており、目を切ると見失ってしまうこともしばしばある。
配色や羽の形等から、テングチョウに似ているとされている。個人的にはそこまで似ているようにも思えないのだが、皆さんはどう感じるのだろうか。
渓流沿いや山中のやや薄暗い所を主な生息地としている。そのため都市部においては身近な存在とは言いがたいが、ハイキング等で見かけることはあるだろう(もっともやや小型のガなので、知らない方が見たところで、スルーしてしまうと思われる)
幼虫はシダ植物のイノデ等を食べるため、生息環境である谷筋なんかにイカリモンガも多いというわけだ。
中々普通のガのような生態とは異なるイカリモンガ。その様子にチョウと思ってしまう方も多いかもしれないが、そもそもチョウもガも広義には鱗翅目という同じ仲間なので、両者に大差があるわけではないのだ。なので、イカリモンガのようなチョウ寄りのガが現れるのも、なんら不思議なことではない。そうしたことを踏まえて見ると、イカリモンガも単なるガではなく、面白い種類なのだとわかるわけだ。
あなたもイカリモンガを見かけたら、そのチョウライクな生態に、思いを馳せてみてはいかがだろうか。
【イカリモンガ】
鱗翅目イカリモンガ科
3月~10月頃にかけて出現
前翅長20mm前後
北海道から九州にかけて分布
やや薄暗い森林や渓谷沿いに多く生息
食草はシダ植物のイノデ等
羽を閉じて止まるガ。昼間活発に活動する。
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