昆虫散歩道

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オンブバッタ・・・メスにおんぶにだっこなオスの生き様

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これぞまさしくオンブバッタ

私的にバッタの仲間は全体的に知名度が高く、子どもたちの間でも人気が高いように感じる。
トノサマバッタショウリョウバッタイナゴ知名度が高く、誰にでも馴染みがある者たちだ。
そして今回取り上げるオンブバッタも、中々有名な種類と言えるのではないか。

 

その名の通り、おんぶしている姿が有名で、草原を歩けばそこらじゅうで飛び跳ねているところを確認できる。
おんぶしている姿はさながら親子だが、実際は夫婦である。
おんぶされている小さい方がオスで、オンブバッタのオスは、メスに背負ってもらって移動するというなんともおんぶにだっこな状態になっている。
たまに、「小さっ!?」と思うようなヤツもいるのだが、幼虫かと思って注意深く観察しても羽が十分に伸びた成虫なので、オスはなんとも頼りない見た目をしている。

 

ちなみに本種はオンブバッタという名前が付けられているが、実はトノサマバッタショウリョウバッタも、それどころか大抵のバッタの仲間は、交尾をする時はおんぶ状態になる。そう考えると、なんとも適当に命名されたような気がしないでもない。
まあおそらくは、おんぶしている光景を他のバッタよりもよく見かけるから名付けられたのだろう。

 

実は他のバッタよりもしぶといとも感じている。
トノサマバッタショウリョウバッタは、草を刈ってしまうと途端に数を減らしてしまうのだが、オンブバッタは、草を刈った近所の河川敷でもかなりの数が見つかる
なんなら住宅街ど真ん中のウチの玄関先にもいたことがあるので、多少の草があればなんとかなるのではないかと感じている。

 

ショウリョウバッタとフォルムはよく似ているが、そもそも大きさが全然違うし、ショウリョウバッタは飛ぶ時に「キチキチキチ」と音を鳴らすので、見分けるのは容易である。
個人的にはショウリョウバッタは、日本最大のバッタであるが故にゴツくて、サイズの小さいオンブバッタの方が、かわいくて親しみやすさを感じる。

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ショウリョウバッタ。見た目はオンブバッタの親玉風情だ。

擬態能力が高く、姿形はまるで芝生の草そのもの。後ろ足をコンパクトに折り畳むことで、バッタ特有の後ろ足の特徴をうまく隠しており、より草と一体化している。
トノサマバッタなんかは不用意に近付くとすぐに逃げてしまうが、オンブバッタは草にでもなりきっているつもりなのだろうか、近付いてもあまり逃げず、じっとしていることが多い
まあもっとも、ガサガサと草むらを歩けばピョンピョンと飛び出してくるため、我々人間が見つけることは容易である。

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こうなるとどこにいるのか簡単にはわからない

なんとも小さく、健気に草になりきっているオンブバッタは、他のバッタのようなかっこよさや飛翔力ではなく、かわいらしさで勝負している。
どのバッタの魅力も、甲乙付けがたい素晴らしいものなのだ。

 

【オンブバッタ】

バッタ目バッタ科

成虫は7月~11月頃にかけて出現

体長はオスが25mm前後、メスが42mm前後

日本全土に分布

明るい草地等に生息

イネ科等、幅広い植物を食べる

メスよりオスの方が小さく、おんぶされているのはオスである。

 

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